【甲子園】常識を覆した慶応・森林監督「高校野球の新しい姿につながる勝利」 選手に求めた自主性

2023年08月24日 05:05

野球

【甲子園】常識を覆した慶応・森林監督「高校野球の新しい姿につながる勝利」 選手に求めた自主性
<仙台育英・慶応>安達(左)と抱き合って喜ぶ慶応・森林監督(撮影・大森 寛明) Photo By スポニチ
 【第105回全国高校野球選手権記念大会最終日決勝   慶応8-2仙台育英 ( 2023年8月23日    甲子園 )】 慶応・森林貴彦監督は、優勝監督インタビューの最後に強調した。「高校野球の新たな可能性や多様性を示せればいいなと思い、常識を覆すという目的に向けて日本一を目指してきた。うちの優勝から新しいものが生まれればうれしいですし、高校野球の新しい姿につながる勝利だったと思います」。自由な髪形、選手提案型の練習メニュー――。周囲からの批判も受けながら貫いた「エンジョイベースボール」は、日本一となって高校野球に新風を吹かせた。
 同校OBの指揮官は、慶大時代に学生コーチとして母校を指導。卒業後、会社員として3年間働くも「学生コーチの充実した4年間が忘れられなかった」と指導者を志した。教員免許を取得し、28歳だった02年に母校コーチに就任。15年秋に監督に就任し、上田誠前監督が掲げた「エンジョイベースボール」を継承すると決めた。そして新たに掲げたのが「常識を覆す」だった。

 その象徴として選手に自主性を求めた。「指導者の指示通りに動くだけでは、高校野球は人材育成の場として物足りない。高校野球の中で個性や多様性を追求していくことが必要」。だから、髪形は丸刈りでも長髪でも構わない。練習は選手が考案し、打席での狙い球は選手自身が考える。決勝でも相手先発の湯田統真(3年)に「追い込まれる前に高めの直球を狙うのはどうか」と方針を示した上で、狙い球など最終的な判断は選手個人に任せた。そして、仙台育英の最強投手陣から13安打8得点を奪った。

 「エンジョイ」を掲げながら、日本一にこだわった理由がある。「優勝し、新たな高校野球の形を示すことが一番格好いい」。大会期間中、試合のテーマとなる四字熟語を発表するのが恒例だった。決勝前夜、選手に伝えたのは「大願成就」。ただ頂点に立っただけではない。伝統校が、高校野球の新たな面白さを全国に発信した。(河合 洋介)

 ◇森林 貴彦(もりばやし・たかひこ)1973年(昭48)6月7日生まれ、東京都渋谷区出身の50歳。慶応では遊撃手としてプレーし、慶大に進み母校のコーチを務める。卒業後はNTT入社後、指導者を目指し筑波大大学院に進学し、つくば秀英(茨城)のコーチも務めた。02年に慶応幼稚舎の教員となり、慶応のコーチに就任、12年から助監督、15年8月に監督就任。春夏4度目の甲子園出場。高3の長男、小6の次男の2児の父。

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