小澤征爾さん 日本で 世界で “鎮魂歌” 訃報から一夜 広がる追悼の輪

2024年02月11日 05:20

芸能

小澤征爾さん 日本で 世界で “鎮魂歌” 訃報から一夜 広がる追悼の輪
小澤さんのサインが入ったプログラムを持参して追悼コーナーを訪れた柴田宗明さん(撮影・佐藤 昂気) Photo By スポニチ
 心不全のため6日に死去した世界的指揮者の小澤征爾さん(享年88)の訃報から一夜明けた10日、国内外で追悼の輪が広がった。名誉市民だった長野県松本市では献花台が設置された。都内の大手CDショップでは追悼コーナーが設けられ、訪れたファンからは「国民栄誉賞を」という声も聞かれた。
 小澤さんが総監督を務めた音楽祭「セイジ・オザワ松本フェスティバル」の松本市内の公演会場などに設置された献花台は、笑顔の写真と白や紫の花で飾られた。指揮した曲が流れる中、市民らが別れを惜しんだ。東京から帰省中の診療放射線技師小島美海さん(23)は吹奏楽部に所属していた中学3年の時、指導を受けたといい「小澤さんの一声で士気が高まり、音が変わった。亡くなったのは悲しい」としのんだ。

 一方、水戸市芸術振興財団はこの日、水戸芸術館の館長を務めた小澤さんの追悼コメントを発表。「子供のための音楽会など、芸術館の活動が多くの市民により親しまれるものになるよう努めていただいた」と感謝した。

 都内にもファンが追悼する場が設けられた。タワーレコード渋谷店では、関連する作品や書籍などを集めたコーナーに多くの人々が足を止めた。同店によると、午前11時の開店直後に陳列した分がほとんど売り切れ、補充に追われた。

 東京都世田谷区から来た柴田宗明さん(82)は日本人がクラシック界で活躍する道筋をつけた功績を称え「同世代としてとても残念」としのんだ。1971年にロンドンのロイヤル・フェスティバル・ホールで小澤さんがタクトを振ったニュー・フィルハーモニア管弦楽団の公演を観覧。この日、小澤さん直筆のサインが入った公演プログラムを持参して思い出に浸った。

 何度も公演に足を運んだ50代の男性会社員は「伝統的な欧米の指揮者に比べて、余計なものをそぎ落としながらも、美しさと趣を感じるような指揮だった」と回顧。02年に日本人指揮者として初めてウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のニューイヤーコンサートで指揮するなど、数々の功績を残したことを踏まえ「国民栄誉賞を贈られてもいいんじゃないか」と期待した。

 同店の森山慶方(けいほう)クラシック専任部長は「世界を代表する指揮者の曲を、改めてたくさんの人に味わっていただきたい」と、追悼コーナーを長期的に設置し、増設する意向も示した。

 いくつもの名門オーケストラでタクトを振ってきた「世界のオザワ」。その音楽はこれからも人々を魅了し続ける。

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