詩歩 超異色映画「悪魔がはらわたでいけにえで私」主演 「ぶっ飛べました」

2024年02月19日 10:00

芸能

詩歩 超異色映画「悪魔がはらわたでいけにえで私」主演 「ぶっ飛べました」
主演映画「悪魔がはらわたでいけにえで私」について語った詩歩 Photo By スポニチ
 【牧 元一の孤人焦点】奇想天外な作品が完成した。ホラーのようでありコメディーのようでもありファンタジーのようでもありSFのようでもある。その混沌とした内容はタイトルに表れている。映画「悪魔がはらわたでいけにえで私」(2月23日公開)。宇賀那健一監督(39)が生み出した異色作だ。
 インタビューに応じた主演俳優・詩歩(29)は「何も考えずに見てほしい。見て意味が分からなかったら、あとでみんなで話し合って、どんどん膨らませて頂ければ…」と語る。

 詩歩はこれまで宇賀那監督の映画「魔法少年☆ワイルドバージン」(2019年)に出演し、短編映画「往訪」(22年)に主演。「往訪」は今回の作品の前半部分に組み込まれている。

 「コロナ禍で仕事がない時、宇賀那監督と話して『自分で作品を作るしかない』という感じで『往訪』ができました。それで仲間が増え、『長編にしよう』という話になって、私が主演することになりました。脚本を書いた宇賀那監督は主人公に関して『あて書き』と言っていましたが、脚本の分量が40ページしかなくて、後半になると私のセリフはいずれも『ギャ』としか書かれていなかったんです。これで本当に長編映画になるの?と思いましたが、読むとなぜか感情移入できて泣いてしまいました。間奏のない音楽のような脚本でした」

 宇賀那監督は俳優で監督で脚本家。監督として最近は映画「異物─完全版─」(2021年)や映画「Love Will Tear Us Apart」(23年)などを手がけている。

 「宇賀那さんを一言で表現すれば『少年おじさん』ですね。少年の心を持った人で、『僕は絶対にこれをやるんだ』という思いがあって、周りに『この人が言うんだったらやってみるか』と思わせるところがあります。他の作品を見ても、この人は自分の思っていることを映画に乗せられる人、クリーチャーに愛情を乗せられる人だと感じます。そこに優しい視線があります。今回の作品も、例えばゲームに『勇者』と『スライム』がいるとしたら、スライム側の物語です。この話をしたら、ゲームをやらない宇賀那さんは『どういうこと?』と言ってましたが…(笑)」

 宇賀那監督の奇想天外な脚本を具現化させたのは、詩歩の演技力に他ならない。インタビューで実際に対面すると、映画で主人公を演じる彼女と、目の前にいる彼女は全く別人に見える。用意周到な役作り、役への深い没入があったことをうかがわせる。

 「そう言ってもらえるとうれしいです。撮影前、監督に『死霊のはらわた』と『グレムリン2』を見ておいてと言われました。私はもともとグレムリンが好きなんですけど、改めて『2』を見て『私が求められているのはこれか!』と思いました。自分がグレムリンだと思って演じたら、ぶっ飛べました。特殊メークをして自分じゃなくなっていたことにも助けられました」

 俳優業を始めたのは約8年前。宇賀那監督のワークショップに参加し、監督に「一緒に映画を作ろう」と声をかけられたことがきっかけだった。実は短大卒業後、就職していたのだが、芝居への興味の方が勝った。

 「今は達成感があります。この映画に主演したことで、怖い物はもうなくなりました。恥ずかしいところは全部見せたと思っています。これから皆さんに『この人が出ているから面白そう』と期待される役者、驚きを与えられる役者になりたい。作品に妥協したくない。ただ、この映画を超える作品に出合うのはなかなか大変ですが…(笑)」

 邦画史上屈指の異色作が個性豊かな新進俳優を世に送り出した。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) スポーツニッポン新聞社編集局文化社会部専門委員。テレビやラジオ、音楽、釣りなどを担当。

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