阪神 6月反攻へ光 前川右京が待望プロ1号 母からもらった「四葉のクローバー」が打たせてくれた

2024年06月01日 05:15

野球

阪神 6月反攻へ光 前川右京が待望プロ1号 母からもらった「四葉のクローバー」が打たせてくれた
<ロ・神>6回、阪神・前川は同点の2点本塁打を放つ(撮影・平嶋 理子) Photo By スポニチ
 【交流戦   阪神4ー5ロッテ ( 2024年5月31日    ZOZOマリン )】 阪神・前川右京外野手(21)が、31日のロッテ戦(ZOZOマリン)で待望のプロ1号本塁打を放った。2点劣勢の6回無死一塁、相手先発・美馬から右翼ホームランラグーンへ値千金の同点2ラン。通算69試合、196打席目での豪快弾で試合を振り出しに戻し、7回2死二塁では菊地から右前へ一時勝ち越しの適時打を放ってチーム9試合ぶりの「4点目」も叩き出した。だが前川の3安打3打点の活躍も実らず、チームは延長10回サヨナラ負けで今季ワースト4連敗を喫し、3位に転落した。
 幕張の夜空を白球が誇らしげに舞った。21歳の前川が、うれしいプロ1号を右翼スタンドへ叩き込んだ。2点を追う6回無死一塁。4回先頭で右翼線二塁打を放った美馬を再び攻略。フルカウントからの7球目、浮いた直球を鋭く振り抜いた。

 「入ってくれ!って感じで、ギリギリかな…と思って。入ってくれたのでよかった」

 初対決の37歳右腕撃ちに、渡辺の助言が生きた。日本ハム時代に対戦経験がある先輩から「振りに行きながら(タイミングを合わせに)いった方がいい」と金言を授かり、感謝の快音に変えた。デビューは昨年5月30日西武戦、3打席連続三振と洗礼を浴びたのが翌31日。“因縁の日”から1年。「勝ちたかった…」。未来と成長を感じさせる弾道は勝利につながるはずだった。

 「(DHも)どこでも難しいが、結果が出たので、また切り替えて、もう一回頑張る」

 節目の一撃は「四つ葉のクローバー」が打たせてくれた。先月18日の誕生日、鳴尾浜の寮に母・敦子さんから荷物が届いた。荷ほどきすると、日用品の隙間に手紙を見つけた。「ケガには気をつけて頑張って」――。心のこもった達筆で埋まる便せんとともに、ラミネート加工された「四つ葉のクローバー」が同封されていた。敦子さんがある時、道端で見つけた幸せの象徴。こみ上げてくる熱い感情をグッと押し殺し、前川はスマホの裏に貼り付けた。「幸運のお守りなんです」。確かな力をくれる母の「思い」を肌身離さず持ち歩く。

 「お金を稼ぐようになって両親の大変さがわかるようになった」

 父・栄二さんと敦子さんは、前川が小1でソフトボールを始めてから、中学、高校と、多忙な日々の合間を縫って応援に駆けつけてくれた。だから「活躍して恩返しすることしかできない」。記念球は手元に戻った。一生の内でたった一度しか渡せない宝物。最愛の家族にとって“最幸”のプレゼントとなる。

 7回2死二塁でも菊地から一時勝ち越しとなる右前適時打を放った。バットを折られながら執念で運んだ一撃で、計3安打3打点。9試合ぶりに「4点の壁」を打破し、一筋の光は見えた。得点力不足の暗いトンネルから虎を救うのは、この男をおいて他にいない。(八木 勇磨)

 【阪神高卒3年目以内の1号22年西純以来】高卒3年目の前川(神)がプロ初本塁打。阪神の選手が高卒3年目までに初本塁打は、22年に投手の西純が3年目で打って以来。野手に限れば95年に平尾博司と高波文一がともに2年目で打って以来29年ぶり。ちなみに高卒3年目の野手の初本塁打になると92年の新庄剛志以来32年ぶり。同年5月26日の大洋戦で1号ソロを放ち、シーズン11本を記録している。

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