【スポニチグランプリ新人賞】「さよなら ほやマン」アフロ 音楽でさらしてきた“何か”出し切った

2024年01月19日 05:00

芸能

【スポニチグランプリ新人賞】「さよなら ほやマン」アフロ 音楽でさらしてきた“何か”出し切った
両手を上げ喜ぶアフロ(撮影・会津 智海) Photo By スポニチ
 2023年(第78回)毎日映画コンクールの各賞が18日、決定した。スポニチグランプリ新人賞には庄司輝秋監督の「さよなら ほやマン」に主演したアフロ(36)と原田眞人監督の「BAD LANDS バッド・ランズ」に出演したサリngROCK(43)が選ばれた。達者な子役たちが脚光を浴びる昨今だが、音楽、演劇の世界で実績十分の2人が貫禄を示しての戴冠だ。(佐藤 雅昭)
 周りから「役者に向いている」とずっと言われていたという。そこに舞い込んだのが庄司監督からの出演依頼。監督はアフロがMCを務めるラップグループMOROHAの大ファン。「あなたしかできない役」と楽屋で渡された台本にはでっかく“ほやマン”と書いてあった。「“あっ(出番は)ここじゃない”と返そうとしたんですが、“ちゃんと中を読んで”と言われて」

 熱意に負けた。主人公になりきってラップができるか。これが一つの尺度。「1曲書けたんです。それでお受けすることにしました。上手な人にやってほしいと思えば最初から自分には話が来ない。音楽で自分がさらしてきた何かを欲しいと思ってくださったのだと。それを存分に出そうと思って臨みました」

 監督の故郷、宮城県石巻市の離島が舞台。ほや漁を生活の糧とするアキラとシゲルの兄弟と、東京からやって来た漫画家の奇妙な共同生活を通して、家族の再生を描いた人間ドラマだ。

 借金など困難に直面しながらも頼もしいお兄ちゃんを自然体で演じきった。「ほやマン」はかつて父親が島おこしのため自ら演じたご当地ヒーロー。幼体は遊泳し、成体は岩に固着するほやの生態も投影して描かれた。

 「関係者向けの試写を見て“自分もみんなも最高”とボロ泣き。周りがドン引きしたほどでしたが、見る回数が重なるにつれ自分の至らない部分が目についていき、今は“俺以外が最高だった”と」

 そう言って苦笑したが、小型船舶の免許を取ったり素潜りを習ったりの真剣さが銀幕から染み出ていた。自身、四方を山に囲まれた村の生まれで「周りを海に囲まれて土地や家族に縛られているアキラと通じるところがあると思いました」の言葉も説得力がある。

 その上で、「演技に関しては俺が末っ子みたいに教えてもらいました」と弟役の黒崎煌代(21)や漫画家を演じた呉城久美(37)ら共演者への感謝の気持ちを忘れていない。

 初日が「ゴジラ―1.0」と重なった。負けてなるかと宣伝にも奮闘。伊集院光(56)がラジオで、宮藤官九郎(53)は雑誌の連載で褒めてくれたのもありがたかった。次作も楽しみだが、「オファー来ると思います?もし1年以内に来なかったらメシおごってくださいね」と豪快に笑った。 

 ◇アフロ 1988年(昭63)1月7日生まれ、長野県青木村出身の36歳。08年に高校の同級生だったUKとラップグループ「MOROHA」を結成。18年ユニバーサルシグマからメジャーデビュー。22年2月11日に初の武道館単独公演。

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