【日本映画大賞、脚本賞】「せかいのおきく」阪本順治監督 未開拓のテーマに「興味」 紆余曲折製作過程

2024年01月19日 05:00

芸能

【日本映画大賞、脚本賞】「せかいのおきく」阪本順治監督 未開拓のテーマに「興味」 紆余曲折製作過程
日本映画大賞と脚本賞に輝いた阪本順治監督 Photo By スポニチ
 【2023年(第78回)毎日映画コンクール各賞決定 ( 2024年1月18日 )】 2000年の「顔」以来2度目の大賞に阪本監督は「こういうこともあるんだなあ」と感慨深げ。紆余(うよ)曲折あった製作過程を思って出てきた言葉だ。
 30本目の監督作は江戸の堆肥事情を絡め、声を失った武家の娘おきくと下肥買いの若者2人がたくましく生きていく姿を活写した青春グラフィティ。4年前に美術の原田満生氏から相談を受けた企画がベースで「撮影が終わった時も配給元が決まっていなかった」と明かすほど難航したが、「ふん尿を中心に据えた映画はなかったはず。誰もやっていないことに興味もあったし、クソみたいな世の中だから、こういう作品が必要だ」と逆に闘志に火が付いた。

 タイトルは当初の「江戸のうんこ」から変更。「黒木華さんを迎えることになって、これはヤバいと。それで『せかいのおきく』に」と笑う。「世界で活躍する人を“世界の○○”と称えるじゃないですか。でも名もなき一般人も世界の一員。そこに差異はないぞという思いも込めた」

 脚本賞にも輝いた。演出と両方を手掛けた時代劇は初。「方向性としては『人情紙風船』などの庶民性のある作品。山本周五郎の小説や江戸の話し言葉は落語から学んだ」と話す。助監督から監督になった頃に2本の時代劇の脚本を書き、当時集めた資料も役立った。憧れという「スタンダードの白黒」で発表した一編。苦労した分だけ喜びも格別だ。

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