作詞家・もず唱平氏、「盟友」キダ・タローさんの死に涙「大阪の歌づくり現場の看板が亡くなり無念」

2024年05月16日 19:25

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作詞家・もず唱平氏、「盟友」キダ・タローさんの死に涙「大阪の歌づくり現場の看板が亡くなり無念」
「兵衛向陽閣」のレコーディングに臨んだ際のキダ・タローさん(右)と、もず唱平(2018年) Photo By スポニチ
 「花街の母」「はぐれコキリコ」などを手掛けた作詞家・もず唱平氏(85)が16日、スポニチの取材に応じ、14日に亡くなった作曲家キダ・タローさん(享年93)を涙ながらに追悼した。
 「盟友」だった。俳優藤岡琢也さん(2006年没)が歌った「悪友の唄」のほか、CM曲や校歌まで共作は数え切れない。音楽制作は東京、が当たり前の中でともに大阪を拠点に名曲を発信し続けた。もず氏は「大阪にも歌づくりの現場がある、ということを知らしめる看板が亡くなってしまった…無念で寂しいですね」と嗚咽(おえつ)をもらした。

 キダさんが作曲した♪有馬兵衛の向陽閣へ…のフレーズでおなじみ、老舗旅館「兵衛向陽閣」のCM曲。当時3番まで作られたが、楽譜は残っておらず幻の大作に。キダさんの記憶をもとに全編を再現する企画が2018年に持ち上がった。もず氏が新たに作詞を担当することになり、2人でレコーディングに臨んだ。20年にも居酒屋チェーンのCM曲を共作した。

 最後に話したのは今年3月26日。キダさん作曲、もず氏作詞で、当時朝日放送アナウンサーだった中村鋭一さん(17年没)が歌った「タイガース音頭」(76年)についての“朗報”を伝えるため、もずさんが掛けた電話だった。

 大の虎党・中村さんと「いっちょ作ろか!」と手掛けた同曲は「六甲おろしに対抗、なんて気はないですが、想像以上に全然売れなかった」と苦笑い。「“失敗作”だけど思い入れあるこの曲を、何かの機会にもう一度発表できたら」と、もず氏は機会を探っていた。

 親交ある演歌歌手・浅田あつこ(52)が今秋発売予定のデビュー30周年アルバムに同曲を収録しないかともず氏が提案。浅田は大阪出身ということもあり、「即OKだった」という。

 キダさんに「オモロイことになりましたよ」と電話でさっそく伝えると「ワハハ~!」と笑い、大喜び。「なんなりとしてくれたらええで」と言いつつ、「時代が経過してるので、アレンジを新しくしてもらったほうがええな」と、ひとつだけ注文をつけたという。

 電話の声は「張りがあって、普段と変わらなかった」ともず氏。だが、直後にキダさんは体調を崩したとみられる。今月14日に円広志から訃報を聞き、想像もしなかった現実に言葉を失った。
大阪の音楽界をともに支えた心強い仲間を失い、寂しさを痛感。気丈に思い出を振り返ったものの、最後は涙を止められなかった。「まだ一緒に曲を作りたいという思いがあったのに」と声を震わせた。

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