ききみみ 音楽ハンター
キム・ランヒ 美声失い逆境から生まれたハスキーボイス 今年デビュー25周年
2017年08月15日 17:39
芸能
韓国ソウル出身。3歳のころから街で歌い出せば人だかりができ、リクエストが飛ぶ。才能を高く買った音大の教授から英才教育を受け、未来の声楽家を期待された。高校時代に頼まれて応援団長を務め、声帯ポリープを発症。透き通るような美声を失った。
音大進学の夢も絶たれ落ち込むキムは、兄に連れて行かれたライブハウスで流行歌を少し歌った。人並み外れたうまさが反響を呼び、歌手にスカウトされたが、両親の反対もあって断った。その後も、韓国を訪問中だった後に事務所社長兼マネジャーとなる谷田幸次さんが、桂銀淑のようなハスキーボイスを「面白い」と絶賛。歌手になると決めたキムは両親の反対を恐れ、「友達に会ってくる」とうそをついて家を出て、着替えも持たず92年に来日した。
大阪在住で、日本語はテレビのCMと漫才番組で学び、最初に覚えた言葉は「アホか!」だった。デビューから四半世紀、二人三脚で歩んできた谷田さんが今年1月にがんで他界した。「歌手を辞めよう」と思うまで落ち込んだが、スタッフやファンの激励で奮起。6月には25周年のベスト盤も発売した。「これからは皆さんに恩返ししたい」。苦境も糧に、キムの歌手人生が更に飛躍することを祈りたい。
(萩原 可奈)