元西武マキノンがサムスンで高い出塁能力を発揮 コーチのサポートと明るい同僚に囲まれチームに溶け込む

2024年06月04日 11:00

野球

元西武マキノンがサムスンで高い出塁能力を発揮 コーチのサポートと明るい同僚に囲まれチームに溶け込む
ホームランを打った朴炳鎬を迎えるマキノン(サムスンライオンズ提供) Photo By 提供写真
 【室井昌也 月に2回は韓情移入】韓国KBOリーグの外国人選手枠は出場、登録ともに1チーム3人まで。10球団で計30人が在籍している。その中でNPB経験者は7人。とりわけ好成績を残しているのが、昨季西武でプレーしたデビッド・マキノン(29)だ。
 サムスン・ライオンズに所属するマキノンは53試合に出場し打率・325(2日現在)。チームトップの打率、安打数、四球数をマークし、勝利に貢献している。サムスンは首位と3ゲーム差の3位だ。

 マキノンはシーズンの3分の1強を終え、「ここまでの数字は悪くないと思っています。長打の数値を上げたいがホームランを打つことよりも、これまでやってきたように出塁する努力を続けるつもりです」と話す。

 マキノンはここまで4本塁打。4番に座る外国人打者ということで、高打率を残していても「もうちょっと大きいのを打ってくれたら」という声がチーム内外から聞こえてくる。それを李晋暎(イ・ジンヨン)打撃コーチは敏感に感じ取っていた。

 「マキノンは他の外国人のように長打を求められることをストレスに感じて、スイングが大きくなる時があります。もちろんホームランを打ってくれたらうれしいですが、高いコンタクト能力で追い込まれても出塁してくれます。ウチの弱い打線の中でよくやってくれています」

 李コーチはマキノンの能力を最大限に引き出すため、シーズン前に西武の平石洋介ヘッド兼打撃戦略コーチに助言を求めた。李コーチは現役引退の翌年、2019年に楽天で研修コーチとして活動。その時の1軍監督が平石コーチだった。

 通常、研修コーチはファームでの活動が中心だが、楽天球団は李コーチの要望に応えシーズン後半は1軍に帯同した。李コーチは指揮を執る平石監督の姿に触れ、食事をともにすることもあったという。2人は1980年生まれの同い年だが、李コーチは敬意を込めて「平石さん」と呼ぶ。

 「平石さんから“どうやったらマキノンが気持ちよくプレーできるか”を聞きました。この先も活躍してくれると思います」

 試合前のウオーミングアップ。グラウンドに「カン・ミンホ!」と拳を挙げながらBGMに合いの手を入れるマキノンの声が響く。カン・ミンホの登場曲が流れたからだ。マキノンはチームに溶け込んでいる。

 「選手がチームの勝利を優先するのはどこのトップリーグも同じだけど、韓国はアメリカや日本に比べてダッグアウトの雰囲気が楽しいです。みんなでふざけ合ったりしています。他のチームのことはわかりませんが、サムスンは特にそうなのかもしれません」

 5月18日のハンファ戦、マキノンは4号サヨナラホームランを放った。ホームベースの周りには、がに股姿勢のサムスンナインが下げた両手を上下させながらマキノンを迎えていた。主将のク・ジャウクは「あれはマキノンが“ホームランを打つにはパワーが必要”と言って見せてくれるゴリラのポーズです」。

 その動きは映画「メジャーリーグ2」で石橋貴明演じるタカ・タナカが同僚を鼓舞するシーンを思わせた。マキノンは「確かに似てますね。面白い映画でした。私にとっては大きな当たりを打った時にみんなを盛り上げる“ゴリラ”です」と言って笑った。

 マキノンにインタビューを行った日の試合後、サムスンはKTから本塁打王6度の大砲、朴炳鎬(パク・ピョンホ)をトレードで獲得。朴炳鎬は4番に座り、移籍後5試合で3本塁打を放った。一方、マキノンは2番に移り、4試合で16打数7安打。相乗効果でチームは4連勝中だ。

 朴炳鎬の加入で一発の呪縛から解けたマキノン。「ゴリラ」を封印し、塁に出続けることで自分らしさを発揮していく。

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