阪神・才木が明かす「1-0」完封勝利の裏側 締めくくり「7球連続直球勝負」に、みなぎった自信

2024年06月04日 05:15

野球

阪神・才木が明かす「1-0」完封勝利の裏側 締めくくり「7球連続直球勝負」に、みなぎった自信
甲子園球場で練習した阪神・才木(撮影・大森 寛明) Photo By スポニチ
 阪神・才木浩人投手(25)が3日、2日のロッテ戦での1―0完封を締めくくった「7球連続直球勝負」の理由を本紙に明かした。オフに体重4キロ増の肉体改造を遂げた影響で今春キャンプから直球の不調を自覚。「ハンドボールを投げてるみたい」と例えた時期を経て“宝刀”にようやく自信を回復した。リーグ最多に並ぶ6勝と同3位の防御率1・34の好成績は、上昇の途中でしかない。
 直球に「懸けた」のではなく、才木には確かな自信があった。

 「高めで空振り、フライアウトを取れるイメージもあった。ここは、真っすぐの方がいいと。威力も全然落ちていなかった。最後は“気持ちでいったれ”って感じでした」

 1点優勢の9回2死三塁でポランコに初球から5球連続で直球を投げ込み、二ゴロで完封を決めた。直前の無死一、二塁で遊ゴロ併殺に仕留めたソトに対する最後の2球も合わせれば7球連続。3試合連続サヨナラ負けの悪夢がよぎる窮地で直球を信じ切れた理由があった。

 「試合中にだいぶんつかめた感じがあった。やっと体にフォームが追いついてきた。動きのイメージとボールにズレがなくなった」

 4月7日のヤクルト戦での初黒星後は8度の先発で6連勝中。21回1/3無失点中の「無双」とは裏腹に違和感を抱えたままシーズンを過ごしてきた。約4カ月前の春季キャンプ。ブルペンで投げ込みを終え「モヤモヤするんです…」と首をかしげていた。
 「自分の感覚と第三者のリアクションのギャップがありすぎて気持ち悪い。“強いな”“伸びてる”と言われるけど、球速も出てないし、周りが言うほど全然良くない」

 遠因はオフに取り組んだ肉体改造だ。ウエートトレーニングなどの成果で88キロから92キロの増量に成功。身につけた筋肉の鎧(よろい)には代償もあった。

 「体がデカくなったことで力み、硬さが絶対に出る。そこで肩、肩甲骨のしなりがなくなると、指のかかりも変わってくるし、伸びも変わってくる」

 最初は新しい体に投球フォームが追いつかずオープン戦でも納得できる直球は「1球ぐらい」だった。「試合でも、でっかいハンドボール投げてる感じなんですよね。のっしりというか…」と例え、理想に掲げる「ピンポン球を投げる感覚」とは雲泥の差があった。

 開幕後はキャッチボールから脱力を意識して24年型の新フォームを模索。イメージと現実が合致し、肩から腕にかけて満足いく「しなり」がようやく出てきたのが、今回のZOZOマリンのマウンドだった。

 ただし、進化の過程で向き合った苦闘は投球の幅を広げた。スライダー、カーブの精度が向上し、直球に頼らないスタイルを確立。2日のロッテ戦も直球割合は40%台にとどまり、「直球はこれからもっと良くなる」とうなずいた。「しなりが出てくれば…。あとは体幹や左足の動きなど細かい調整になる。6月中には完全につかめそうな気もしている」。才木浩人の“最終形態”はまだ誰も目にしていない。(遠藤 礼)

 《次回は中6日で9日の西武戦の見込み》才木は快投から一夜明けて甲子園での投手指名練習に参加し、キャッチボール、ゴロ捕球などに汗を流した。次回は中6日で9日の西武戦を見込まれ「しっかり切り替えてチームの勝利に貢献できるように」と静かに闘志。本拠地では今季4戦2勝無敗を誇り、開幕から11週連続の日曜日登板で7勝目を目指す。

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