藤井聡太棋王、第2局“先勝” 第1局持将棋引き分けから一転会心勝利「流れはいいのかな」

2024年02月25日 04:45

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藤井聡太棋王、第2局“先勝” 第1局持将棋引き分けから一転会心勝利「流れはいいのかな」
棋王戦第2局に臨んだ藤井聡太棋王(日本将棋連盟提供) Photo By 提供写真
 藤井聡太棋王(21)=王将含む8冠=が挑戦者に同学年の伊藤匠七段(21)を迎える第49期棋王戦第2局は24日、金沢市で指され、94手で後手藤井が勝利した。対戦成績を1勝0敗1分けとし、持将棋で引き分けた第1局を経て実質的に白星発進した。第3局は3月3日、新潟市で指される。
 藤井王は56手目、裸の王様だった。伊藤馬との角交換に王自らで応じると、自陣三段目へせり出した。

 王の周囲8マスで、手駒は左斜め前の歩1枚のみ。そこから加賀懐石弁当を味わった昼食休憩を経て、藤井陣が再生する。

 6筋に陣取った藤井王は9筋の伊藤竜への防波堤として角2枚に銀桂を打ち付けていく。いずれも横への利きがない、守りには不適格そうな駒たちによる奇想天外な組み合わせ。攻めを防ぐだけではない。84手目、孤立無援の伊藤竜を逆に捕獲しにいった。

 「竜を抑え込んでこちらの受けが利く形になった。少し前の局面と比べると流れはいいのかなと思った」

 昨秋王座戦第2局以来のタイトル戦連勝を12へ伸ばした。王座戦での3連勝、竜王戦での4連勝、ALSOK杯王将戦での4連勝に続いた。藤井にとって公式戦初、お互いの王が詰む見込みがなくなる今月4日、第1局での持将棋を挟んで、21年8月から22年5月までの自己記録にして歴代2位タイ、13へ肉薄した。

 そして元日に発生した、能登半島地震の被災地に近い金沢対局を飾った。提供を受けた駒は、地震で夫人を失った石川県珠洲市の塩井一仁さん(63)の所有物。倒壊した自宅から複数発見した中から、「一から出発したい」との塩井さんの希望もありタイトル戦では初使用のものが選ばれた。

 「少し珍しい書体かなと思ったが、局面に入り込める感じがあった。指していていい将棋にしたいという気持ちが強くあった」

 珍しく言葉に力を加えた。前夜祭で「一日でも早く復興して日常が戻ることを祈っています。被災地の方に楽しんでもらえる将棋にできるよう全力を注ぎたい」と語った決意を体現できた手応えがにじんだ。自陣を再生させての受け切りは、盤上に描いた無言のメッセージだったろうか。

 中原誠16世名人(76)による歴代最高勝率、67年度の47勝8敗、・855。藤井は今年度成績を43勝7敗、・860とし、更新ペースを維持した。先手番に移る第3局へ向け、「状態を整えて臨めれば」と穏やかに語った。

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