慶応の圧が強すぎる?高校野球応援に吹奏楽部はいらないと言う人へ

2023年08月23日 08:00

野球

慶応の圧が強すぎる?高校野球応援に吹奏楽部はいらないと言う人へ
千葉大会決勝戦、ZOZOマリンスタジアムで全力応援した習志野高校の吹奏楽部 Photo By スポニチ
 【君島圭介のスポーツと人間】高校野球に吹奏楽部の応援はいらないと言う人がいるらしい。うるさくて試合に集中できない、と…。 【習志野高校 千葉ロッテ応援本気のリハーサル動画
 夏の甲子園。慶応の応援アルプス席で流れる「若き血」が相手に対して威圧的だとSNS等でクレームが出ている。

 かつて習志野の吹奏楽部も同じ批判を受けた。100人を超える部員が音をそろえて演奏すれば「美爆音」になる。それがうるさいと感じるかは感性の問題だ。

 個人的には空想してしまう。胸に「NARASINO」のユニホームで打席に立ち、吹奏楽部の全力演奏の中、「お前が決めてくれ!」と背中を押される。生涯の宝になる瞬間だろう。

 甲子園応援に批判的な人は「吹奏楽部やチアリーディング部は無理矢理駆り出されている」と言う。

 習志野の吹奏楽部は座奏のコンクール、マーチングともに全国金賞を何度も獲得する名門中の名門。それでも同じくらい応援演奏にも力を入れる。

 吹奏楽部の上杉照部長(3年)は「野球応援を楽しみにする部員は多い」と教えてくれた。170人以上の部員を抱えるが、コンクール出場は選抜された一部だけ。全員で合奏する機会は球場の広いスタンドくらいしかない。

 吹奏楽部を指導する石津谷治法教諭は「野球応援には意味がある」と言う。「仲間のために何がやれるか。一生懸命やっている人間を応援することは音楽に生きてくる」。試合に負けると野球部と一緒に泣き崩れる。石津谷教諭は「落ち込んで、次の日からコンクールに向けて子供たちの目の色が変わる。必死になる」と教えてくれた。

 なぜ習志野や慶応の応援に心を奪われるのだろうか。

 きっと本気を見せられているからだ。本気でプレーする野球部に本気で感情移入し、本気で演奏し、本気で叫ぶ。吹奏楽部にとって野球部は高い目標を共有できる仲間であり、同じ熱量を持ったライバルなのだ。近年、ブラックだ、時代錯誤だと悪役として叩かれる「部活」だが、そんな貴重な体験ができる希少な場所でもある。

 この夏、本気で汗を流し、声を枯らした部活生は習志野や慶応だけじゃない。野球部、吹奏楽部に限らず全国にたくさんいる。

 慶応の応援が相手に圧を与えている?それだけの熱を持てるのはグラウンドの仲間と連帯している証。嫌々駆り出されては本気になれない。高校野球に吹奏楽部の応援はいらないと言う人がいるらしい。

 大きなお世話としか返しようがない。彼らの部活動だ。熱い、熱い本気の青春を黙ってうらやましがっていればいい。
(専門委員)

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