慶応・森林監督 高校野球指導の夢追い脱サラ、全国制覇…異色の経歴 現在は幼稚舎教員、愛称“モリバ”

2023年08月23日 18:32

野球

慶応・森林監督 高校野球指導の夢追い脱サラ、全国制覇…異色の経歴 現在は幼稚舎教員、愛称“モリバ”
<仙台育英・慶応>健闘を称えあう慶応・森林監督(左)と仙台育英・須江監督(撮影・大森 寛明) Photo By スポニチ
 【第105回全国高校野球選手権記念大会最終日・決勝   慶応8―2仙台育英 ( 2023年8月23日    甲子園 )】 第105回全国高校野球選手権大会最終日は23日、甲子園球場で決勝が行われ、慶応(神奈川)が仙台育英(宮城)を8―2で下して1916年以来、107年ぶり2度目の優勝を果たした。
 準優勝した1920年以来103年ぶりの決勝で選手は躍動した。これまでの夏の甲子園の最大ブランク優勝は1962年→2016年の作新学院(栃木)の54年ぶりで、これを更新した。16年は豊中球場、20年は鳴尾球場開催で、103年ぶりの決勝は「甲子園初優勝」を目指した舞台だった。森林貴彦監督(50)は優勝した涙を必死にこらえ、ナインを頼もしそうに見つめた。仙台育英の須江監督から「おめでとう」と祝福されると、「またよろしくお願いします」と激闘を称え合った。

 大声援の中、優勝監督インタビューで森林監督は「だいぶ(目に)光るものがありますが」と目を潤ませながら、「仙台育英さん、この球場に来ていただいた観客のみなさんのおかげで実力プラスアルファの部分が出せたんじゃないかと思い、感謝しています」と頭を下げた。世紀を超えた深紅の大優勝旗。「球場の応援のみなさんもそうですし、テレビの向こう、ネットの向こうにいらっしゃる本当に多くの方々に応援されて、支えてもらってきょうの試合がありますし、きょうの結果があります。本当にありがとうございます」と話すと、球場から割れんばかりの拍手が起きた。

 森林監督は慶応から慶大に進学。慶大時代は高校の学生コーチを務めていた。大学卒業後、一時はNTTに就職するも高校野球指導の夢を追いかけ、指導者の道へ。筑波大大学院に進学してコーチング論を学ぶ傍ら、つくば秀英でコーチを務めた。

 2002年に慶応義塾幼稚舎教諭となり、2012年から慶応の助監督に就任。2015年、監督に就任した。幼稚舎の授業が終わると三田から野球部グラウンドのある日吉まで移動する毎日だ。

 幼稚舎の児童たちからの“愛称”は「モリバ」。監督就任後初の甲子園出場となった2018年選抜では児童が甲子園まで応援に駆け付けた。教え子の一人は「授業中に僕らがうるさくすると怒ったりするけど、優しくて面白い先生」と明かした。

 キリっとした表情で高校の練習を指導している最中、日吉に来ていた教え子の幼稚舎生からかわいい声で「モリバ―!!」と黄色い声援が飛び大テレする一幕も。2018年選抜開幕前には、『勝つ』とデザインされた横断幕に児童たちが寄せ書きをしてプレゼント。森林監督は「ありがとう。宝物にするよ」と、うれしそうに受け取ったという微笑ましいエピソードも残っている。

 今大会も幼稚舎生が多数応援に駆け付けており、「同じ慶応義塾で、彼らは最も若き塾生。お兄さんたちが素晴らしい活躍を見せたというのは彼らにとっても何かいい影響を与えると思いますので。今度は自分もここで頑張るぞっていうモチベーションになってくれたり、野球じゃなくても頑張ろうって思ってくれたら。応援ありがとう、良いクラス作ろうねって担任のクラスの子に言いたいです」と教員の素顔がのぞいた。

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