【甲子園】慶応監督 「髪、練習時間…ご意見いただくことも」 信念貫き「こういう高校野球の形もあると」

2023年08月23日 19:27

野球

【甲子園】慶応監督 「髪、練習時間…ご意見いただくことも」 信念貫き「こういう高校野球の形もあると」
<仙台育英・慶応> 安達(左)と抱き合って喜ぶ慶応・森林監督(撮影・大森 寛明) Photo By スポニチ
 【第105回全国高校野球選手権記念大会最終日・決勝   慶応8―2仙台育英 ( 2023年8月23日    甲子園 )】 第105回全国高校野球選手権大会最終日は23日、甲子園球場で決勝が行われ、慶応(神奈川)が仙台育英(宮城)を8―2で下して1916年以来、107年ぶり2度目の優勝を果たした。
 準優勝した1920年以来103年ぶりの決勝で選手は躍動した。これまでの夏の甲子園の最大ブランク優勝は1962年→2016年の作新学院(栃木)の54年ぶりで、これを更新した。16年は豊中球場、20年は鳴尾球場開催で、103年ぶりの決勝は「甲子園初優勝」を目指した舞台だった。森林貴彦監督(50)は優勝した涙を必死にこらえ、ナインを頼もしそうに見つめた。

 試合終了後からしばらくたっても「まだ冷静にはなれない。チームが目標にしていた日本一を実現できたようだ、という感じでした。選手の頑張り、素晴らしい成長ぶりでした」と実感が沸かない様子。「全国大会の舞台で、仙台育英さんという最高の相手を前にして自分たちの野球ができたのはやりたかった野球が一つ形にできた」と喜んだ。

 もともと丸刈りの伝統がなく、選手と指導者の対等な関係が根付いている。再び注目された慶応のスタイルに「野球やる楽しさ、喜び、みんな野球を始めたころは楽しくてしょうがなくてやってたと思うんです。どうしても勝ち負けがつきまとうと、勝たなきゃとか打たなきゃがついてきて、野球やるのが辛そうになってきちゃう。もう一回野球をやる喜びを感じながら表現できるように、良い顔して野球やろうとやってきました。それの方がパフォーマンスも発揮できるという思いでやってきて、こういった形にできて、世の中にメッセージを発信できたのかなと思います」。

 さらに「うちは髪の毛のこととか、練習時間、選手と監督の関係とかでいろんなご意見いただくこともあるけど、信念を貫いてきて、こういう高校野球の形もあるぞと。そのためにも優勝して示すことが一番カッコいいんだぞと言ってきて、選手もだから優勝したいと言ってきた。みなさまに感じてもらえるものがあれば嬉しいです」と振り返った。

 髪型についても「自由にした方がいいとかではなくて、思考停止せずにおかれている環境ではこういうものがいいんだと選手主体で進めていくことがいいのかなと。監督の言われたことだけをやる人材はこれからの世の中には必要とされていないと思う。サイン通りに動くとか、指導者の指示通りに動くことを良しとしているのであれば、人材育成としては高校野球は足りていない。個性、多様性とかを高校野球の中で追求していくことが必要かなというのは思っています」と選手が自ら頭を使って動く高校野球像を思い描いている。

 高校野球の時代の変わり目を実感した大会でもあった。「5年前より明らかに増えましたね。敵じゃなくて、一緒に野球やる仲間っていう。そういう印象受けたチームが多かった。現場レベルでは変わりつつあるなと。スポーツマンシップとか相手を尊ぶとか、高校野球は進化してきている。加速させていきたい」。

 選手も監督も人生はこれからも続いていく。「僕は(チームを)引っ張ってきたつもりはないんです。ついていったという感じで。大村中心に選手たちがここまで連れてきてくれた。監督の私よりも言葉の影響力が大きくて、私も含めて大村に頼るところは大きかった」と大黒柱だった大村主将を称えた上で、「集大成をこういう形でチーム大村の集大成を見せてくれたのは最高ですけど、振り返ったときにこの思い出に浸る人生にはしないでくれと言おうと思う。これからもっと楽しいことがあると思うので、それを目指してやってほしいと思います」とらしいエール。

 指揮官として「私自身はまだまだ。作戦面でも至らない所があったし、優勝させてもらって足りない所がよく見えてきたというか。まだこういうことをしていかなければ強い伝統は作れないと思う。私自身は指導者として成長する材料をいただけた」と語った。

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