エンゼルス・大谷 日本選手初の本塁打王! イチローの野手初挑戦から23年「大変恐縮で光栄なこと」

2023年10月03日 02:30

野球

エンゼルス・大谷 日本選手初の本塁打王! イチローの野手初挑戦から23年「大変恐縮で光栄なこと」
<エンゼルス・アスレチックス>試合中、ベンチで笑顔の大谷(撮影・光山 貴大) Photo By スポニチ
 大リーグは1日(日本時間2日)、レギュラーシーズンが終了し、エンゼルスの大谷翔平投手(29)がア・リーグ1位の44本塁打で、日本選手初の本塁打王に輝いた。日本選手の主要打撃タイトル獲得は、04年に2度目の首位打者となったイチロー以来19年ぶり2人目。投手の本塁打王は1919年のベーブ・ルース(レッドソックス)以来、104年ぶりとなった。日本野手のメジャー挑戦から23年。新たな歴史の扉を開いた。
 前日に続き今季最終・アスレチックス戦でベンチ入りした大谷は、勝利を見届けてグラウンドに飛び出した。ギプスで固定された右腕ではなく、左手でナインとグータッチ。自然と笑顔がはじけた。

 「これまで活躍された偉大な日本選手たちのことを考えると大変恐縮であり光栄なこと。チームメート、ファンに感謝します」。自身初の本塁打王のタイトルが確定し、球団を通じてコメントした。日本野手として初めて01年にイチロー(マリナーズ)と新庄剛志(メッツ)がメジャー挑戦してから23年目の快挙で、北中米以外の出身としても初めてだ。21年に大谷が46号を放つまで、日本野手は本塁打王争いに絡めなかったが、故障で9月3日を最後に欠場し135試合の出場にとどまりながら2位のレンジャーズ・ガルシアに5本差つけて逃げ切った。強打者の指標OPS1・066も両リーグトップで終えた。

 かねて「あまりホームランを狙って打つ感覚は持っていない」と話してきた。父・徹さんの教えを受け、少年時代から左中間にライナーで飛ばすことが原点スタイル。「(ボールにスライス軌道になるように)4分の1回転をかけると左中間へ飛ぶ」と独自の感覚を語ったこともあった。

 今季の量産の転機は6月12~15日の敵地レンジャーズ4連戦だった。計4本塁打は全て中堅から左方向だった。フィル・ネビン監督は「彼はあれで気付いた。目いっぱい振らなくても、捉えれば柵越えする」と解説。右方向への本塁打は21年が46本中26本で、今季が44本中18本に減少。強引に引っ張らず、広角に打ち分ける打棒はまるで少年時代の大谷だった。打率も初の3割台となるリーグ4位の・304と確実性も増した。

 怪力自慢がそろうメジャーでもパワーにこだわった。WBCで大谷が試合後に500ポンド(約227キロ)の重量でスクワットする姿を見たカージナルス・ヌートバーは「今まで見た中で一番凄かった」と仰天した。本塁打の平均飛距離は昨季より5メートル伸び422フィート(約129メートル)に達し、今季のメジャーでトップだった。スクリーンに投手の映像も流れて、相手の投球を再現できる打撃マシン「トラジェクトアーク」で連日打ち込むなど、準備と対応も欠かさなかった。

 9月19日に右肘手術を受け、24年に打者で、25年に投手での復帰を目指す。2度目のMVPが確実視されるが、FAとなる今オフは自身の去就が最大の注目となる。SNSには「打者としてリハビリから頑張ります。今までよりも強くなって戻ってこられるように、ベストを尽くしたい」と決意を記した。打者最高の名誉を手にし、次なるステージに向けて走り出す。(柳原 直之)

 ≪北中米出身者以外でも初≫ア、ナ2リーグ制となった1901年以降、今季まで147人の本塁打王が誕生しているが、83・7%に当たる123人が米国出身者。2番目に多いのはドミニカ共和国の11人。米国以外で初めてタイトルを獲得したのは、ナ・リーグは1961年のオーランド・セペダ(プエルトリコ)、ア・リーグは後に近鉄でもプレーした80年のベン・オグリビー(パナマ)。大谷は北中米以外の出身者では初のキングとなった。

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