球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―
“名建築家”エプスタイン氏 コミッショナーでカムバックを
2020年12月06日 05:30
野球
「私は強いチームの維持には興味がない。強いチームをつくっていくのが好きだ」。球界では、編成部長やGMを「建築家」になぞらえるが、エプスタイン氏は選手に関するデータを集め、それを基に“チームのかたち”を構想し、レ軍、カ軍での計18年のフロント・トップの間に3度のWSを手にした名建築家だ。強豪球団をつくったGMが長く在籍し複数回WSを勝つのは珍しくないが、2球団で勝ったGMは5人しかいない。このまま引退しても殿堂入りは確実だろう。
エプスタイン氏の辞任会見で印象に残った言葉がある。ファンに面白い野球を提供しているのかについての自問だ。「私にも責任があるが、あまりにデータ分析に偏った野球にしてしまった。チームづくりばかりでなく試合の戦術もデータ頼り。野球の美学、楽しさをデータが奪ってしまった」。フロント・トップの口からこんな反省の言葉は聞いたことがない。コミッショナーでカムバックを果たせないだろうか。(野次馬)