球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―
“球界の新バイブル”は心理学を学ぶ一冊
2021年03月14日 02:30
野球
実はこの本、数年前に挑戦し、上巻で降参したのだが、記事に寄せられた野球ファンの投書が泣かせる。
「ヤンキースの殿堂入りの名捕手で迷言でも有名なヨギ・ベラいわく。“考えて打てだと?2つのことを同時にできるか”。早く、遅く、無理な話だ」。「オリオールズ・ファンとして一言。シグ・メジャルGM補佐よ、理屈は結構。いい選手を見つけてこい」。「ニューヨーク市民として言うが、コロナ禍以前から球場での試合が楽しめない。法外なチケット料金。ビールは10ドル。イニングの合間に巨大なスクリーンからの騒音。改革だ」。「データが野球を駄目にし、今度は心理学か」。
123通の投書のほとんどが行動経済学、認知心理学などの術語入りで「現代の古典」との礼賛で占められる。ささやかな純野球投稿はご覧のような嘆き節。
記事を書いた記者は87歳のカーネマン名誉教授にインタビューを申し込み断られた。「野球はよく知らない」と。野球に9行触れただけの“球界の新バイブル”は勉強熱心なフロントたちの片思いの産物だった。(野次馬)