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スポイラ誌から野球に恋する大谷への“ラブレター”

2021年07月11日 05:30

野球

 毎日、スポーツ・イラストレーテッド(SI)誌のニュースレターが受信トレーに届く。大半が「削除」だが、最近は大谷翔平をめぐる記事が楽しい。5日付記事の見出しは「ショーヘイ・オオタニはベーブ・ルースではない。彼はルース以上だ」。「我々が、驚き、啓発され、楽しみを求める対象が必要な年に野球は一世紀に一人出現するかどうかの選手、大谷を贈ってくれた」。長文記事のデータ数字をカットして、エッセンスを紹介する。
 今年は野球の泥沼だ。不正粘着性物質の横行、セクハラ事件は引きも切らず。史上最も遅い試合時間で史上最多三振、73年のDH採用以後で最も少ない安打数。そこに大谷が登場した。言葉の正確な意味の「ボールプレーヤー」そのものだ。ばく大な報酬のため専門性を追求する球界にあって、大谷はそれを拒否し、投げ、打ち、走り、さながら夢中でプレーするリトルリーガーの喜びの姿を見せてくれる。打者と投手の“二刀流”で先達はベーブ・ルースだが、二刀流だったのは1918、19年の2年間218試合だけ。「外野が居場所。投手兼任はつらい」と言った。

 大谷のユニークさは現役のトップ選手たちと比べるとよく分かる。(SI誌記者は、トップ選手と大谷のデータ比較で説明するが長いので選手名だけを挙げる)。大谷の打球の初速はフアン・ソトより速く、速球はダルビッシュを超え、走塁スピードはアロザレーナに勝る。

 17年当時カブス監督のジョー・マドンは大谷と話した時の言葉が忘れられないそうだ。「大リーグを目指すのは、投げて打ちたいから、と。彼は野球に恋している。わたしも同様。それで2人は翌年エンゼルスと契約というわけさ」。SI誌記者の記事もラブレターのようだった。(野次馬)

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