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「ハッピー・リタイア!」名捕手・ポージーのかっこいい引き際

2021年11月14日 05:30

野球

「ハッピー・リタイア!」名捕手・ポージーのかっこいい引き際
引退を発表したジャイアンツのポージー(AP) Photo By AP
 ジャイアンツのバスター・ポージー捕手(34)は今季、自身キャリア最高の成績の一つを達成した。球団は来季契約を年俸2200万ドル(約25億円)で結ぶ球団選択権行使の構え。ところが4日の引退発表の1週間前、ポージーはジ軍グレグ・ジョンソン会長に電話で引退を伝えた。会長は「私は泣いたよ」と言った。会見場に駆け付けポージーのそばに座ったファーハン・ザイディ編成本部長は「これは本当なのかね」と確かめた。
 ジ軍一筋12年の成績は殿堂入りクラス。新人王、首位打者、MVP、3回のワールドシリーズ制覇だが、コリジョンルール(ホームベース上の衝突予防規則)の“生みの親”で有名だ。11年5月、対マーリンズ戦で走者と激突、下肢骨折、足首の3つのじん帯が引き裂かれた。以後、耐え難い痛みとの闘いで「楽しんでいる野球が、楽しくなくなる限界にきた」のが引退の理由だ。

 キャリアの頂点で「痛いから辞める」。重なるのはドジャースの左腕サンディ・コーファックス。66年に27勝9敗、30歳で突然の引退。「左肘の痛みに耐えられない」と引き留める球団を無視、引退会見には激怒したド軍関係者は一人もいなかった。

 ポージーの会見にはクリスティン夫人と4人の子供たち(いずれも養子)も同席した。コロナ禍の昨季を「家族を危険にさらせない」と出場放棄した家庭人らしい。「ウソだと言って」とホワイトソックス八百長事件で叫んだ少年の言葉でネット投稿したのはジョニー・ベンチ氏(73歳のレッズOB、球史最高の捕手とされる)。「家族のために引退、尊敬するよ。私の名がついた捕手の賞を手にしてから13年、ハッピー・リタイア!」。誰もが祝福の身の処し方がかっこいいではないか。(野次馬)

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