球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―
“粘着物質チェック”投手への考慮なしで募る不満
2021年06月27日 02:30
野球
騒動は検査開始前に起こった。レイズのエース右腕グラスノーは、15日の試合に愛用の「異物」を使わず登板した。今後の試合に備えたテストは、右肘に過剰な力が加わりじん帯断裂で長期離脱。「試合途中でルールを変えたMLBの非常識でこうなった」という自損事故だ。
検査第1号は、メッツのエース右腕デグロム。1回を投げベンチに戻る途中で2人の審判員に止められた。「何が必要?」。「グラブ、帽子、ベルト、それと指先」と審判員。先発投手は複数回、救援投手は1回の検査。これが登板のたびに続く。不満顔の投手の中、エンゼルスの大谷だけが笑顔だった。2日目のナショナルズのエース右腕シャーザーの検査は、対戦相手フィリーズのジョー・ジラルディ監督が検査要求を出し、不満顔のシャーザーは「“マンフレッド・ルール”が混乱のもと」と怒りを爆発させた。
ネズミ捕り検査でMLBが心配した「試合時間の長さはクリア」と喜んだが、投手のストレスには考慮なし。同コミッショナーは「規則の呼び名は個人の自由、シャーザーは賢い若者」と上から目線。選手の怒りを買った。今季は「労使協約」改定年。労使対立は深まるばかり。(野次馬)