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球界が凍り付いた辞任マリナーズ社長「もう一つの放言」

2021年02月28日 05:30

野球

 先週、マリナーズの球団社長が地元シアトルのロータリー・クラブの講演で岩隈久志氏とドミニカ共和国出身の若手選手を「ひどい英語を話す」と侮辱し、ファンの猛反発で辞任した。
 講演には「選手労組に強力な武器を送るに等しい愚かな放言」(ニューヨーク・タイムズ)もあった。選手の年俸調停権=大リーグ登録3年、FA取得権=大リーグ登録6年の取得を遅らせるため「登録の日数調整操作をしている」というのだ。

 球界は凍り付いた。大リーグ選手協会(選手会労組)は「球団側に“事実無根”と長年否定され続けた我々の疑問は、マ軍前球団社長の講演で事実と裏付けられた」と声明。今季で終了する現行「労使協約」の改定交渉に備え戦闘態勢である。

 大リーグではレギュラーシーズン162試合を開幕日から閉幕日の187日間に組み込む。この間、172日の大リーグ登録で「1年稼働」だ。球団は有望新人を172日に達しないよう開幕日に登録せず4月下旬に遅らせる。被害選手の例を挙げると、08年のエバン・ロンゴリア内野手(レイズ)=4月12日登録、170日。12年のブライス・ハーパー外野手(ナショナルズ)=4月28日登録、159日…など。

 最悪が15年のクリス・ブライアント内野手(カブス)だ。オープン戦14試合で9本塁打も球団の「守備の強化」を名目に登録は4月17日で登録日数は171日。球団に1年を盗まれた。選手会とブライアント、代理人スコット・ボラス氏は調停に持ち込むが、第三者調停人はカ軍の勝利とした。当時のGMはセオ・エプスタイン氏。名GMの汚い手だ。

 経営側は労使交渉で解決したいところだが、旗色は悪い。万が一、裁判になれば大火事になりかねない。 (野次馬)

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