球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―
金権的にして“人権的”フィリーズ社長 巧みな手腕
2022年11月06日 05:30
野球
球界内の評判は「チームづくりの手腕は認めるが、金をかけすぎる…」。主砲のハーパーは「信じられないような球団社長だ。今のチームは彼のベビー」と言う。柱になる選手とは長期契約をいとわず。20人ものデータ分析職員による資料精査で狙いを絞り、積極財政出動によるチームづくり。金権的に映るが、「伝統的野球を重んじる球団経営者」とニューヨーク・タイムズ紙は伝える。
特筆されるのは人事の巧みさ。選手と衝突したジョー・ジラルディ監督を解任し、ロブ・トムソン・ベンチコーチを代行監督に抜てき。短期間で勝率5割に戻すと「代行」の肩書を外し、プレーオフ進出で24年まで契約延長した。「ここまで細かく気を配るトップは珍しい」と野球メディア。
球界入りは70年代後半、ホワイトソックス傘下マイナーでのフロント業務修業から。当時一人で中南米諸国に張り巡らせ、今に続くスカウト網は球界では語り草だ。そして選手への心配り。「選手をロボット扱いにしてきた球界に反省の空気が生まれている」という。(野次馬)