鴻上尚史氏 「問題は、原作者と脚本家ではなく、出版社とテレビ局」 芦原妃名子さん死去に言及

2024年02月04日 20:45

芸能

鴻上尚史氏 「問題は、原作者と脚本家ではなく、出版社とテレビ局」 芦原妃名子さん死去に言及
劇作家・演出家の鴻上尚史氏 Photo By スポニチ
 劇作家・演出家の鴻上尚史氏(65)が4日、自身のX(旧ツイッター)を更新。昨年10月期に日本テレビ系で放送された漫画「セクシー田中さん」の原作者で漫画家の芦原妃名子さん(享年50)が先月29日に死去した問題について、言及した。
 鴻上氏はこれまで主に舞台の脚本や演出を多数手がけているが、テレビドラマの脚本も担当した経験がある。

 「痛ましい出来事の激震が続いています。僕自身、原作を提供したこともあるし、脚色したこともあります。僕はずっと今回の悲劇を『原作者と脚本家』の問題にしてはいけないと思っていました」と見解。

 「原作者さんの中には、『絶対に変えないで欲しい』と要望する人もいるし『おまかせします』と言う人もいます。それは、いいとか悪いの問題ではなく、原作者さんの個人の判断です。問題は、『変えないで欲しい』という原作者さんの意向をちゃんと出版社が伝えたかどうかです」と指摘。

 さらに「そして、それをちゃんとテレビ局が受け止めたかどうかです。そして、もっと大切なのは、その要望が違っていた時に、それに対して対応するのは、原作者個人ではなく、原作者側に立つ出版社であり、その変更の要望を対応するのも、脚本家の前にテレビ局、つまりプロデューサーです。プロデューサーが『絶対に変えないで欲しい』という原作者さんの意向をどれぐらいのレベルで伝えたのか。そして、出版社は、どれぐらいの熱意で、その言葉をテレビ局に伝えたのか」とプロセスが適切だったのかについて疑問を投げかけた。

 「そこを問題にしないまま、『原作を変えることは是か非か』という論点にシフトすることは、意味がないと僕は思っています」とした。

 「海猿」の原作者で漫画家の佐藤秀峰氏が、「海猿」映像化の際に自身が経験したトラブルを明かしたnoteを引用し、「この佐藤秀峰さんの文章は、はっきりと出版社もテレビ局も、原作者の意向を無視し、原作者の立場を守ろうとしていないという痛切な事実が綴られています。その経済的な要求と脚本家の立場をイコールにしてはいけないと思います。問題は、原作者と脚本家ではなく、出版社とテレビ局です。そう思います」と記した。

 「セクシー田中さん」をめぐっては、作品の脚本家が自身のインスタグラムで、原作者による脚本執筆となったと明かしていた。その後、芦原さんは26日に更新した自身のXで、脚本をめぐり局側と折り合いがつかず、自らが9、10話の脚本を書くことになったとして視聴者に向けて謝罪。当初提示していた「漫画に忠実に描く」などの条件が反故になっていたと明かした。その後、Xの投稿は削除され、29日に訃報が発表された。

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