【箱根駅伝・金哲彦氏 視点】青学大のVタイムは“想定外”3区・太田の走りが及ぼした影響 これぞ駅伝

2024年01月02日 15:35

駅伝

【箱根駅伝・金哲彦氏 視点】青学大のVタイムは“想定外”3区・太田の走りが及ぼした影響 これぞ駅伝
区間賞の快走を見せる青学大3区の太田蒼生(左は駒大3区の佐藤圭汰) Photo By 代表撮影
 青学大の5時間18分13秒は物凄いタイムで、正直全く予想していなかった。風がずっと追い風で、気温も雨で上がらなかったとはいえ、原監督自身もおそらくこのタイムは想定していなかったはずだ。
 青学大の勝因はもちろん2、3、4区で区間賞を獲ったことだが、1区の荒巻の頑張りも大きかったと思う。最初からオーバーペースで飛ばしていたので後半のスタミナ切れを心配したが、最後まで粘って何とか35秒差で食らいついた。あそこで1分以上離されていたらその後の展開は全く違っていただろうし、あの1区の粘りが後続の選手に火を付けたと言ってもいいだろう。

 駒大の5時間20分51秒も往路新で、タイム的には決して悪くはなかった。ただ、藤田監督が振り返っていたように、3区の青学大・太田の走りを見てチーム全体が動揺したということはあったのかもしれない。1万メートルのタイムでは駒大の佐藤圭の方が太田より1分近くも速い。それなのに7キロ過ぎで追いつかれ、最後はわずか4秒差とはいえ逆転を許した。その動揺がもろに出たのが4区の山川で、5区の金子も「俺が何とかしなくちゃ」という気持ちが先走りすぎて、本来の走りができなかった。いくらいいタイムを持っていても、レースの流れによっては力を発揮することができない。それが駅伝の怖さ、難しさでもある。

 両校の間の2分38秒差は数字以上に大きい。もともと青学大は先行逃げ切りが得意のパターン。復路はリザーブの選手も投入して、前半は自重し、後半に上げるセオリー通りの戦い方で来るだろう。一方の駒大もまだリザーブに有力選手を残している。駒大が逆転するためには、とにかくまずこれ以上絶対に離されないこと。そして1区間に10秒でも20秒でも少しずつ詰めていって、距離の長い9区で勝負するしかない。

 青学大有利は動かないが、「駅伝は何が起こるかわからない」のも事実。最後まで諦めずに頑張れば、予想を覆すようなドラマが待っているかもしれない。(駅伝マラソン解説者)

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