野球の素晴らしさを教えてくれた選手に感謝 注目選手だけじゃない 最後の夏に懸ける高校球児たち

2023年07月21日 07:20

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野球の素晴らしさを教えてくれた選手に感謝 注目選手だけじゃない 最後の夏に懸ける高校球児たち
7月9日<上溝南・厚木西>7回、代打で登場し中前打を放った上溝南の関高(撮影・村井 樹) Photo By スポニチ
 本格化してきた夏の高校野球の地方大会。歴代最多の高校通算140本塁打を誇る花巻東(岩手)の佐々木麟太郎(3年)や、ロッテ・佐々木朗希の弟で大船渡(岩手)のエース右腕・怜希(3年)、巨人、西武などで活躍した清原和博氏の次男で慶応(神奈川)の勝児(2年)ら注目選手への取材が続く中、野球の素晴らしさを教えてくれた選手に出会うことができた。
 2回戦で横浜(神奈川)に敗れた上溝南(同)の関高佑(3年)。決して強豪校でもなく、関もプロ注目という選手ではないが、白血病と特発性大腿骨頭壊死(えし)症という大病を乗り越えて高校最後の夏を迎えていたことを知り、1回戦の取材へ向かった。

 関は代打の切り札としてベンチ待機。試合中は選手交代を浅井彬宏監督へ進言するヘッドコーチのような役割を任されており、「代打、俺」で打席へ向かったのが7回1死一塁だった。1点を追う場面だったが、関の公式戦初安打となった中前打を起点に一挙8得点。応援に駆けつけた家族は号泣。股関節には人工関節が入っており全力疾走は難しいのだが、必死で一塁へ到達した姿を見ていたら記者の目頭も熱くなった。

 高校入学前に白血病が分かると、入学後には特発性大腿骨頭壊死を発症。治療や手術の影響で思いきり体を動かすことは難しく、憧れだった高校野球に本格的に打ち込めたのは今年2月から。闘病生活中は家族が野球道具をそろえて退院を待ったり、野球の話をしたりして必死に支えてくれた。だからこそ試合後に関が「支えてくれた家族にヒットをプレゼントできて良かった」と語った笑顔は、本当に輝いて見えた。

 高校野球の素晴らしさを身をもって感じたとともに、甲子園だけが全てではなく、各選手が様々な思いを持って戦っていることに気付かされた。これから各地区予選も佳境に入っていく。選手の魅力を少しでも引き出せる取材を心掛け、残りの夏を過ごしたい。(記者コラム・村井 樹)

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