【球宴】広島・九里 津田さん命日に広島で運命の先発「(津田さんが)最少失点で抑えさせてくれたかな」

2023年07月21日 06:03

野球

【球宴】広島・九里 津田さん命日に広島で運命の先発「(津田さんが)最少失点で抑えさせてくれたかな」
<全セ・全パ>初回、力投する九里(撮影・岸 良祐) Photo By スポニチ
 【マイナビオールスターゲーム2023第2戦   全セ1―6全パ ( 2023年7月20日    マツダ )】 「マイナビオールスターゲーム2023」第2戦が20日、マツダスタジアムで開催され、全セの先発マウンドに広島・九里亜蓮投手(31)が上がった。くしくもこの日は「炎のストッパー」と呼ばれて活躍し、32歳の若さで脳腫瘍のため亡くなった球団OB・津田恒実さんの没後30年の命日。2回3安打1失点に終わったが、偉大な先輩を思いながら力強く腕を振り、初の夢舞台で勇姿を届けた。
 プロ10年目で初めての球宴のマウンド。九里が本拠地のファンの歓声を全身に浴びながら、35球を投げ込んだ。

 「楽しく投げられたと思いますし、本当にいい経験になりました。ずっと記憶に残る試合になったと思う」

 初回は無失点。球宴ならではの“新球”を試した2回につかまった。先頭の柳田、公式戦では投げていないというナックルボールを2球続け、「投げてみたいなと思っていた。しっかり打たれました」と右中間へ二塁打された。紅林にも左前打を許し、無死一、三塁のピンチ。1死後に若月に中犠飛を打たれて1点を失ったものの、最少失点でしのぎ、胸をなで下ろした。

 「2回は無死一、三塁になったんですけど、(津田さんが)最少失点で抑えさせてくれたのかなと思う」

 ちょうど30年前に32歳の若さで亡くなった津田さんと、9月に同じ年を迎える九里。しかも、没後「7・20」に球宴が広島の地で行われるのは初めてという、運命的なマウンドだった。「(津田さんは)特別な選手。見てくれていると思うので、魂が乗り移ってくれれば」と臨み、2回3安打1失点。楽しみ、かつ2三振も奪う力強い投球だった。

 「やっぱり、野球が好きだなと改めて実感できた。もっと自分のレベルも上げて、また出られる機会があれば、出られたらいいなと思う」

 実りある2日間だった。多くの選手とコミュニケーションを図り、DeNA・バウアーからは下半身の使い方についてアドバイスをもらった。また、阪神・村上、DeNA・今永、東らには武器とするツーシームのほか、シンカー系の球の操り方を質問攻めされたといい、「たくさん勉強になることがあった」と振り返った。

 “真夏の祭典”が終わり、22日の中日戦(マツダ)から後半戦がスタート。優勝に向けても本当の勝負が始まる。チームは首位・阪神に1ゲーム差の2位。前半戦で6勝を挙げた右腕も首位再浮上へ、さらなる奮闘が求められる。「投げる試合ではチームが勝てる投球をして、しっかり準備してマウンドに上がりたい」。祭りの余韻に浸ることなく戦いに向けてスイッチを切り替える。(長谷川 凡記)

 ▽津田恒実 1960年(昭35)8月1日生まれ、山口県南陽町(現・周南市)出身。南陽工、協和発酵を経て81年ドラフト1位で広島入り。82年に先発で11勝を挙げ球団初の新人王。右手血行障害のため86年に救援転向。座右の銘は「弱気は最大の敵」で、常に真っ向勝負の投球から「炎のストッパー」と呼ばれた。89年は最優秀救援投手。91年、脳腫瘍に倒れ現役引退。93年7月20日、32歳の若さで死去。通算成績は286試合で49勝41敗90セーブ、防御率3.31。12年野球殿堂入り。

おすすめテーマ

2023年07月21日のニュース

特集

野球のランキング

【楽天】オススメアイテム