【球宴】阪神・大竹 師匠のソフトB・和田と夢競演で誓い新た「追い越していけるように」後半戦へ気合

2023年07月21日 05:15

野球

【球宴】阪神・大竹 師匠のソフトB・和田と夢競演で誓い新た「追い越していけるように」後半戦へ気合
<全セ・全パ>笑顔で場内を一周する大竹(中央)(撮影・大森 寛明) Photo By スポニチ
 【マイナビオールスターゲーム2023第2戦   全セ1―6全パ ( 2023年7月20日    マツダ )】 初出場の阪神・大竹耕太郎投手(28)が7回から全セの6番手で登板し、1回2安打1失点だった。2021年のオフから合同自主トレを行い、師と仰ぐソフトバンク・和田毅投手(42)が全パのベンチから見守る中で雄姿を披露。昨年12月に現役ドラフトで加入し、前半戦で7勝を挙げた左腕が、師匠とともに出場がかなった夢舞台を、心の底から満喫した。
いつまでも、この時間が続けばいい――。夢にまで見た、球宴での師匠との競演。三塁ベンチから和田が熱い視線を送る中、大竹は1回1失点。プロ6年目でついに開花した28歳にとって、何物にも代えがたい14球。だが大竹は、別の部分に成長への鍵を見出した。

 「(投球の)パフォーマンスより、いろんな選手と話せたというのが大きい。すごい球を見たり、実際に話をしたり、そういう経験の方が大きい」

 目と耳から得た刺激。その最たるものこそ、19日の第1戦の和田のピッチングだろう。4番手で登板し、オール直球で15球を投じた42歳の姿を、大竹は1球たりとも見逃すまいと、一塁側ベンチの最前列に身を乗り出して見届けた。試合後には2人そろってテレビ朝日系「報道ステーション」に生出演。早大の大先輩でもある左腕と過ごした、至高の2日間。帰り際、大竹は感慨深げに言った。

 「僕が先に引退することがないように。負けたくない気持ちもありますし、まだ能力も足りないが、追い越していけるように」

 いつもその背中を追いかけてきた。ソフトバンク4年目、初めてシーズン勝ち星なしに終わった21年オフ。飛躍のきっかけをつかむべく志願して和田へ弟子入りし、寝食を共にしながら22年も0勝。だが、人間万事塞翁(さいおう)が馬。鷹に見限られ、昨オフに現役ドラフトで阪神へ移籍したことが一大転機となった。先発枠の一角をつかみ、今季の交流戦で胸を張って再会。和田が先発した6月16日のカード初戦は、初回の1イニングを一塁側アルプス席と内野席を隔てる通路のフェンスにかじりつき、その目に焼き付けた。

 「ファンに声を掛けられてもいいや、と思って。画像や映像ではなく、(和田を)生で見て雰囲気みたいなものを感じたかった」

 和田は近本を遊飛、中野とノイジーを連続三振に斬った。超一流の投球術を見届けた大竹は翌17日に先発し、安定感抜群の6回1失点。18日の試合前にはあいさつへ出向き、顔を合わせて会話した。「(直接の会話は)1月の自主トレ以来。(自分の投球について)特に何も言われていないけど、何となくは伝わってくる」。2人は終始、穏やかな笑顔で言葉を交わしていた。和田の、どこかうれしそうな表情こそ、大竹が進む道が間違っていないことの何よりの証明。自前のカメラで2ショットも撮り「甲子園で撮るのは、またいいっすね」と笑った。

 大竹の自宅玄関には今、スポニチのカメラマンが撮影した、2人がほほ笑む一瞬をとらえたパネル写真が飾られている。頂点へと向かう、勝負の後半戦が始まる。戦いへの扉を開くときはいつも、和田が大竹のそばにいる。(八木 勇磨)

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