落合博満氏 05年球宴、選手の一言で先発予定変更「だったら、そうしなよ」

2023年07月21日 17:10

野球

落合博満氏 05年球宴、選手の一言で先発予定変更「だったら、そうしなよ」
落合博満氏 Photo By スポニチ
 現役時代に3冠王を3度獲得し、監督としては中日を4度のリーグ優勝に導いた落合博満氏(69)が21日、自身のYouTube「落合博満のオレ流チャンネル」を更新。監督として3度、コーチとして5度出場した球宴について語った。
 普段から選手のことを一番に考える落合監督。球宴ともなれば「選手ファースト」はより顕著となる。「よその選手を預かるってことは粗相のないように、ちゃんと元の球団に返してやらなきゃいけないというのが大前提なんで」。だからこそ、選手の申し出に首を横に振ることは、まずない。

 落合氏が思わず、思い出し笑いしたのは自身が初めて全セの監督を務めた05年のことだ。監督推薦選手として阪神・下柳を選出。球宴での起用法は前もって、伝達する方針だったため、選出時に第1戦(インボイス)での先発起用を伝えた。名誉とも言える球宴第1戦の先発。当然、了承してくれると思いきや、返ってきたのは意外な言葉だった。

 「いや、あの…。2戦目の甲子園で投げさせてください」

 にこやかな笑みで振り返る。「“何でだ?”と言ったら、アイツ阪神にいたから、切符を何十枚って買って(友人、知人を)招待しているって言うんで“だったら、もう、そうしなよ”っていうことで」。申し出通り、第2戦の2番手として起用。「(チームに)来て、いきなり“どこそこで投げるぞ”と言ったら、調整きかない場合もあるし」と状態面も含め、選手の意向は最大限に尊重した。

 試合中でもそれは変わらない。下柳が“志願登板”した05年の球宴第2戦。阪神・金本、赤星、広島・前田がそれぞれ初回に安打を放つなど、試合展開からMVP争いは3人に絞られていた。「本当は途中で代えるつもりだったんだけど、3人に“お前ら3人で決着付けて来いって」と試合終盤までグラウンドに送り出した。

 試合中、金本、前田両者からの申し出があった。「普段、金本はレフト守ってるでしょ、甲子園で。で、前田がライト守っていて、2人からの意見で“これ、ポジショニング、ライトとレフト代わっていいですか?”って言いに来たから“お前ら、それでいいんだったら、ファンがそれを望んでいるだったら、そうしなよ”っていうふうに、守備位置変えたってこともあるしね」。普段と違う姿をファンに提供したい。その思いを汲み取って、守備位置を入れ替えた。

 結果的にはフル出場で4打数3安打2打点を記録した前田がMVPを獲得。「結構、監督の時ってのは選手が気分よく野球をやってくれたんだろうと思う。それなりの配慮はしていたけどね」と笑顔で話した。

おすすめテーマ

2023年07月21日のニュース

特集

野球のランキング

【楽天】オススメアイテム