「ブギウギ」ヒョウ柄衣装 趣里のテンションアップ
2024年02月16日 08:15
芸能
「ジャングル・ブギー」はスズ子のモデルとなった歌手の笠置シヅ子さんが1948年にレコード発売した曲。黒澤明監督の映画「酔いどれ天使」(同年公開)の挿入歌で、黒澤監督が作詞、羽鳥善一(草なぎ剛)のモデルとなった服部良一さんが作曲した。
福岡氏は「黒澤監督の天才的な歌詞にあのメロディーが乗っているとめちゃくちゃ面白く、このドラマのスタッフにも大好きな人が多いです。笠置さんの曲には『東京ブギウギ』『買物ブギー』など『ブギ』がつくものが多いですが、それぞれ歌の方向性が違い、いずれもユーモアと力強さがあって本当に素敵だと思います」と指摘する。
ドラマの中で善一は「とある監督」から映画主題歌の作曲を依頼されていたが苦戦。スズ子から、おミネ(田中麗奈)ら夜の女性たちの話を聞いたことで「ジャングル・ブギー」のメロディーを思いつく。あのシーンで善一の「来た、来た、来たあ~!」という歓喜の叫びが「ジャングル・ブギー」の楽曲としてのインパクトの強さを的確に表現した。
福岡氏は「草なぎさんには天才と努力を併せ持つ羽鳥善一というキャラクターを見事に演じて頂いています。草なぎさんは『台本が面白くて撮影がとても楽しい』とおっしゃっていて『ジャングル・ブギー』を指揮するシーンでも乗り乗りでした」と明かす。
その歌唱シーンでスズ子はヒョウ柄の衣装を着用。これまで着用した衣装と比べても派手さが際立った。
福岡氏は「笠置さんの実際の衣装を意識しつつ、♪私はめひょうだ…と歌う曲のインパクトを衣装に持ち込もうと考えました。撮影の時に偶然、スタッフや関係者にヒョウ柄の服を着ている女性が何人かいたので『みんなでステージに上がろうか?』と冗談を言って笑いました。趣里さんは髪形も含めて気に入った様子で、テンションを上げて撮影に臨みました」と話す。
ドラマの中で善一は「ジャングル・ブギー」について「力強く強烈で野獣のような曲」と説明したが、スズ子の踊りにも野生の荒々しさが感じられた。
福岡氏は「趣里さんは『中腰でいる時間が長いので大変』と言っていました。客席で田中麗奈さん(おミネ役)、藤間爽子さん(タイ子役)が実際に見ていましたが、楽しんでいる様子で、田中さんはおミネたちが歌に合わせて踊る場面でめちゃくちゃ乗り乗りで踊っていました。良いステージのシーンになったと思います」と話す。
史実としては、笠置さんは映画「酔いどれ天使」に「ブギを唄う女」役で出演。酒場で「ジャングル・ブギー」を歌い、それに合わせて俳優の三船敏郎さんが演じる「松永」が酒場の女性と踊る場面がある。
この朝ドラでは残念ながらそのような場面は描かれないという。
◆牧 元一(まき・もとかず) スポーツニッポン新聞社編集局文化社会部専門委員。テレビやラジオ、音楽、釣りなどを担当。