【岡田阪神18年ぶりVの裏側(3)】ポジション大変動の中で無風 際立つ「中堅・近本」の存在感

2023年09月17日 05:45

野球

【岡田阪神18年ぶりVの裏側(3)】ポジション大変動の中で無風 際立つ「中堅・近本」の存在感
<広・神>初回、佐藤輝の適時打で生還した近本(撮影・須田 麻祐子) Photo By スポニチ
 22年と比べて、野手のポジションがガラッと変わった。中野の二塁転向に始まり、右翼がメインだった佐藤輝は三塁、外野や三塁に就くこともあった大山は一塁に固定された。遊撃は木浪が奪った。捕手は梅野の不調もあって坂本が台頭。投手を除く8ポジションで大変動が起きる中、無風だった選手がいる。中堅の近本だ。
 10連勝を含む月間18勝7敗で他球団を一気に引き離した8月に、めざましい活躍をした。同5日DeNA戦は球団65年ぶりの快挙となる1試合4安打3盗塁。翌6日は球団史上3人目となる入団から5年連続100安打を達成した。15試合連続安打もマークした。7月2日巨人戦で死球を受けて右肋骨を骨折し、離脱中にチームは5勝6敗と苦しんだだけに、復帰後の存在感が際立った。

 年間で見ればパフォーマンスとともに、リーダーシップでも周囲に大きな影響を及ぼした。選手会長として若手がプレーしやすい環境づくりにも尽力。ルーキー森下にはプロの心得や、ひた向きに取り組む阪神の伝統を伝えた。胸の中には「僕や大山、中野が打っても当たり前と思われる。輝や森下が打ってくれたら流れに乗る。どんどん調子に乗ってほしい。勝敗の責任を背負わずに」という思いを秘めていた。

 くしくも、同じ94年生まれの28歳、大山も若手が萎縮しないよう「失敗しても気にするな。俺たちがカバーする。思い切ってやれ」とよく声をかけていた。主力が懐深く構えることで、森下を筆頭に、前川、小幡、小野寺らが力を発揮した。

 おおらかな雰囲気を象徴する場面があった。森下は、応援歌ができた8月29日DeNA戦の試合前、円陣で「一曲いきます」と言ってから“マイ応援歌”をアカペラで歌った。岡田監督に眉をひそめられたものの、令和のノリで盛り上げに一役買った。ドラ1ルーキーは、大事な終盤戦で勝敗につながる打点を何度も挙げた。堅苦しくないムードが、経験が浅い選手の背中を押していた。(阪神取材班)

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