【王将戦】藤井王将 菅井八段悩ます強手 “冬眠状態”飛車馬銀 “覚ました”4七銀

2024年02月08日 05:00

芸能

【王将戦】藤井王将 菅井八段悩ます強手 “冬眠状態”飛車馬銀 “覚ました”4七銀
熟考する藤井王将(撮影・藤山 由理、大城 有生希、会津 智海、光山 貴大) Photo By スポニチ
 【第73期ALSOK杯王将戦七番勝負第4局第1日 ( 2024年2月7日    東京都立川市・オーベルジュときと )】 藤井聡太王将(21)=8冠=が菅井竜也八段(31)の挑戦を受ける第73期ALSOK杯王将戦7番勝負(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)第4局は7日、東京都立川市「オーベルジュ ときと」で1日目が始まり、後手菅井が40手目を封じた。戦型は菅井の角交換型振り飛車。藤井の対戦成績3勝0敗で迎え、2日目、藤井が勝てば大山康晴15世名人を抜く新記録、タイトル戦20連覇を達成する。菅井が反撃開始の1勝か、午前9時から同所で指し継がれる。
 あり得ないと思った指し手が、あり得た。藤井による27手目▲4七銀(第1図)。菅井の飛車と馬が利くマス目へ右銀を動かす強手に、棋士らが集う控室が活気づいた。

 大駒2枚のうちどちらかで切り込むと一見、金銀2枚との交換となる。大駒1枚と金銀の交換は金銀を失う側が損とされるにもかかわらず、強行したのには深い読みがあった。

 読み進めると、▲4七銀に△同馬は▲4三歩と飛車の利きを止める手があった。一例では△5八馬は▲4二歩成△6九馬▲同王△4二銀に▲4一飛が6一金と2一桂、4二銀を狙って厳しい。1~3筋の飛車馬銀が冬眠状態だったが息を吹き返した。想定外だったのだろう、昼食休憩を挟んで菅井は1時間24分の考慮へと引きずり込まれた。

 「手が広く、非常に判断の難しい局面になっていると思います」。封じ手後、藤井は勝負の佳境にあると語った。

 王将2期の立会人・中村修九段は、藤井と並ぶ大山の最後の対戦相手。初対戦から5連敗したが、92年6月25日の棋聖戦2次予選で146手で勝利した。内容は中村の必敗からの逆転勝ち。感想戦で「こうやっても(自分の)勝ちだったんだね」と繰り返した大山の姿が印象的という。

 7月26日に死去する1カ月前。やせてはいたが、勝利への執念を肌で感じたと言い「それまでは相撲でいう懐にも入れない、指導対局のような内容ばかり。初めて将棋を指してもらった気がした」と記憶をたどった。

 藤井とも3局対戦し、79歳の年齢差がある両者と対局した。その将棋を対比して「大山先生は人と戦い、藤井王将は将棋と戦っている」と表現。藤井の真理を追究する姿を称え、「いつか8冠独占すると思ったが、ここまで早かったとは。まだ棋士人生の序盤戦なのが凄い」と語った。

 昨年10月の全8冠独占以降、棋界の話題は誰がストップをかけるのかへと移った。「誰かが一つ負かさないと雰囲気は変わらない」。その期待はもちろん菅井へも向けられている。

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