【王将戦】菅井八段 今シリーズ最長95分封じ手 背水も「盤上の格闘家」構え崩さず
2024年02月08日 05:00
芸能
開局直後はジェットコースターのような展開だった。4手目に飛車を3二に振り、角交換を経て互いに筋違い角を打ち合う。12手目△4七角成(第2図)で盤上に馬が2枚!わずか10分余りの間に強烈な突っ張り合いを見せた両者だが、その後は急転、静かな駒組みに入る。
双方の馬が互いの敵陣をにらみつつ、奇妙な均衡を保ったまま藤井から飛車交換を打診された本日指了図。その誘いに応ずるか否か。応じた場合、その先をどう進めるか。主導権を握るための最善策は何か。1手も進まない95分間、菅井の頭脳は光速で回転し続けていた。
格闘技ファンとして知られる菅井。心の英雄は6年前に41歳で夭逝(ようせい)した山本“KID”徳郁さんだ。1メートル63と小柄ながら数々の名勝負を演じたスーパースター。「あの小さな体で自分より大きな選手に勝つ。細かい技術面よりも、リングに獣がいるという感じが好きなんです」と、現在でも心酔ぶりは変わらない。
菅井自身も熱いスピリットを常に発する「盤上の格闘家」。3連敗して迎えた今局でもファイティングポーズは迫力十分だ。まずは一発、パンチを返したい。
≪封じ手は?≫
▼立会人中村修九段 △4八飛成。飛車交換の誘いを受けて立つ。それ以外は感触が良くない。
▼副立会人戸辺誠七段 △5五歩。本命は飛車成りだが、対抗の一手。
▼記録係田中大貴三段 △3二金。将来的に左桂の活用を狙う。