スポニチキャンパス
福岡大女子ソフトボール部
2019年08月29日 05:30
社会
強烈な日差しが突き刺さる中のノックでも、活気あるナインの掛け声は途切れない。キャンパス内にあるソフトボール場。部員12人は11月16、17日に沖縄県で行われる秋の九州インカレに向けた練習に打ち込んでいる。
「うちにはトッププレーヤーはいないので組織で勝ち抜けるように。新チームとなり、打撃の向上が必要と思っています。やはり打てないと勝てない。ただ、練習から笑顔を心掛けています。いいプレーが出れば“よっしゃ、よっしゃ”とみんなで盛り上げる。試合中でも常に笑顔になれるようにしています」
チームの現状を分析するのは、就任4年目の中尾太一監督だ。愛称は“太一さん”。九産大九州高、福岡大男子ソフトボール部で投手として活躍し、全国3位や大学選抜でプレーした実績がある。週末を中心に指導し、部員に練習メニューを考えさせるなど自主性を重んじつつ、自身の経験を基にアドバイスを送っている。
練習は週6回で約3時間。6月末で4年生7人が引退し、3年生6人、2年生1人、1年生5人の12人で新チームは始動した。夏場は福岡市の百道浜での砂浜ダッシュで下半身を強化。徹底的にバットも振り込み、レギュラー争いは激化している。
全日本大学ソフトボール連盟に所属し、九州では九州共立大(福岡)、熊本学園大、日本文理大(大分)、明桜大(沖縄)がライバルとなる。年間の主な大会は春、秋の九州インカレから始まる。春の上位2校が全日本インカレ、同3校が西日本インカレに進み、大学日本一を決める全日本大学ソフトボール選手権の出場権獲得にもつながる。春の最高成績は04年の全日本インカレ3位。秋は九州インカレのみで、強豪・日本文理大の撃破が九州女王への鍵となる。
「目の前のプレーだけではなく、勉強も大事。当たり前のことを当たり前にやる。単位を落とした選手は練習に参加できません」と中尾監督。文武両道も重要視しており「ダラダラはせず、メリハリを大事に。ただし、やるならガチ」と短期集中で結果にこだわっている。「ソフトボール同好会」から始まって今年で創部60年。部員12人は令和元年の秋から、新たな歴史を刻む準備を続けている。
≪長沼、山中、菊地 エースへ火花≫中尾監督が「どんぐりの背比べ」と評し、ハッパを掛けるのが新エース争い。長沼涼未(3年)、山中楓(3年)、菊地遥花(1年)に競わせている。中でもルーキーの菊地は福岡大若葉高(旧九州女子)でエースとして春の全国大会で8強、総体16強、国体2位の実績を持つ。直球に加えてドロップ、ライズボール、チェンジアップを操る。「1年生からでも2、3年生以上に活躍をしたいと思っています」と強気に言い切った。打撃を期待され一塁の守備に就くこともあり、「打てる“二刀流”として頑張りたい」と頼もしい存在だ。
≪“全試合勝つ”藤本副主将≫藤本ゆりか副主将(3年)は、秋の目標を“全勝”と掲げる。中堅手としてだけでなく、青柳英里主将(3年)を支える存在としても奔走中だ。「4年生の先輩方は“日本文理大に勝つ”ことだけを目標にして他校に負けたりしていた。われわれは“全試合勝つ”ことを目標に、取られても取り返す打撃を身につけたい」。練習では率先してロングティーを続けていた。
≪唯一の2年生 山口気配り◎≫メンバー唯一の2年生である山口真優菜(まゆな)内野手は気配り元気娘だ。「先輩がプレーしやすい環境と、1年生が試合に出やすい空気をつくっています」と笑う。プレーでは三塁手として誰よりも声を出してナイン鼓舞し、打席では常にフルスイング。中尾監督には「アドバイスが欲しいとき、抜群のタイミングで声をかけてくれるんです」と感謝し「声とプレーで盛り上げていきたい」と話していた。
▼福岡大 1934年(昭9)創立、49年設置の私大。9学部31学科、大学院10研究科34専攻を有する西日本最大級の総合大学で「思想堅実」「穏健中正」「質実剛健」「積極進取」を建学の精神とする。山口政俊学長。住所は福岡市城南区七隈8の19の1。