内野守備シフト制限効果なし!? インプレー打球の打率がルール変更前の22年以下に その原因は?

2024年06月02日 08:24

野球

内野守備シフト制限効果なし!? インプレー打球の打率がルール変更前の22年以下に その原因は?
23年、エンゼルス時代の大谷が打席に入った時の相手内野守備シフト Photo By スポニチ
 2023年のMLBは各球団の攻撃力を増強するために、守備シフト、けん制球の制限など思い切ったルール変更が実施され、結果、1試合あたりのチームのヒット数は22年の8・16本から8・40本に、盗塁数も0・51個から0・72個にそれぞれ上昇。打率も・243から・248に、OPSも・706から・743に数字が上がった。得点数も1試合あたり4・28点から4・62点に増えている。ところが、24年は3分の1が過ぎた時点だが、数字が落ちている。1試合あたりのチームのヒット数は8・06本と22年以下に、盗塁数は0・74個で23年より少し増えたが、その分失敗数も23年の0・18個から0・21個に増えてしまった。打率も・240、OPSも・697と22年よりも下。得点数も1試合あたり4・32点だ。
 良い数字は三振数が23年の8・61個から8・38個に下がったことだが、だからといってヒットは増えていない。インプレー打球の打率(BABIP)は23年が・297だったのに、・287と10ポイントも低下した。21年が・292、22年は・290と低下していたから、MLB機構は内野のシフト制限を実行し、その成果が23年に出たはずだったのに、24年は再び22年の数字を下回ってしまった。
 スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」のケン・ローゼンタール記者は、シフト制限のない外野が問題なのかもしれないとし、22年のネットサイト「ベースボールプロスペクタス」のラッセル・A・カールトン記者の記事を引用している。カールトン記者は「データに基づいた外野のポジショニングは、実は内野のシフトよりもはるかに多くのヒットを奪っている。4倍も強力」と指摘していたのだ。

 外野へのフライボールのBABIPは03年から10年ごろまではほぼ安定しており、約・160だった。しかし、チームが内野のシフトを強化し始めた11年頃から、外野手の守備位置にも思い切った変更を加え、深かったり、浅かったり、ファールラインの側に立たせたり、データが教える打球が飛ぶであろう位置に就かせた。結果、外野のBABIPは大幅に低下、10年から21年の間に約50ポイントも落ちている。

 以前は6本の外野飛球のうち5本が野手のグラブに収まっていたのに、10本のうち9本が収まってしまう。内野のシフトはBABIPを約12ポイント下げると言われたが、外野手は50ポイントで、ヒットを奪う力が4倍も強かった。この記事でカールトン記者はMLBがヒットを増やし、アクションを増やしたいのであれば、外野の守備位置から始めるべきと提案していた。例えば、投手がボールを投げる時の3人の外野手のポジショニングは、全ての打者に対して同じと規制する。BABIPがシーズン終了時も・287程度なら、真剣に考えるべきなのかもしれない。
(奥田秀樹通信員)

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