グラウンドに「特製ネット」が必要な規格外スラッガー 中部大・清水智裕は守備も魅力のドラフト候補

2024年06月06日 21:03

野球

グラウンドに「特製ネット」が必要な規格外スラッガー 中部大・清水智裕は守備も魅力のドラフト候補
中部大・清水智裕 Photo By スポニチ
 愛知県春日井市の中部大グラウンドには、左中間後方に色の違うネットがある。左翼は90メートル、右翼は95メートル。普通なら打球が届く距離ではないのに、一人の長距離砲のためだけに存在していた。中部大・清水智裕捕手(4年)がスイングすると、勢いもスピードも段違いの打球がはるか遠くに飛んでいく。「大学に入って打球速度が上がって、外野の間を抜けたら、絶対長打になるという自信があるので、長打力を自分の持ち味にしていきたい」。魅力あふれる大型捕手。言葉を選ぶように、こうアピールした。 【清水の動画はこちらから
 プロでは、阪神に在籍したフィルダー、ディア―のような舶来砲のために用意されてきた特製ネット。大学生のために設置された経緯を堀田崇夫監督が明かす。

 「打席の位置を変えて打たせて、手投げの野手が傷んでいるボールを投げるので飛ばないはずなんですけど、彼(清水)の打球はそれでも(スタンドを)越えていく。そうすると、(左中間奥にある)浄化槽の向かい側に停めている車に、壁に直撃して跳ね返って当たってしまうということが起きたので、サッカーゴールみたいなボールが吸収されるカーテンのネットを掛けてください、と大学にお願いして設置してもらったのが2年前ですね」

 大器の片鱗が見え始めた2年春、清水は正捕手の座を奪う。3年春の全国大学選手権2回戦の富士大戦では、東京ドームの左中間最深部上段へ特大アーチを突き刺した。「あれは自分でも打った瞬間に“飛んだな”と思いました」。全国、そしてスカウト陣に無限の可能性を示した一打を、手に残った確かな感触とともに振り返った。

 体重は1日6食をノルマに課して、入部時の73キロから96キロまで増量。堀田監督の考案した「ドリル」と呼ばれる7種類超えのスペシャルな打撃練習に取り組み、技術面でも向上した。スケールの大きな打撃ばかりが注目される一方で、捕球から二塁への送球速度はプロでもトップクラスの1秒78を計時。地肩の強さに頼るのではなく、捕球してからのステップや意識などを改善した数字だけに「のびしろ」は大きい。

 今春のリーグ戦では終盤に痛い星を落とし、選手権への道を断たれた。秋がラストチャンス。全国でアピールできれば、ドラフトでの評価も変わってくる。「(プロを意識したのは)昨年秋の日本代表合宿に行ってからですかね。(周りに)プロに行くためにいろいろやっている選手が多く、そういう人の話を聞くのも面白かったし、自分もそうなりたいと思った」。夢のために地道な汗を流せる「清水智裕」の名前がコールされる瞬間が待ち遠しい。

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