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阪神・岡田監督の“2大哲学”からチーム解体の意図を読み解く

2024年06月06日 12:25

野球

阪神・岡田監督の“2大哲学”からチーム解体の意図を読み解く
阪神・岡田監督 Photo By スポニチ
 阪神・岡田監督のチーム解体が止まらない。5月12日の伊藤将を皮切りに、15日に佐藤輝、27日にノイジー、6月1日に青柳、5日に大山とゲラと、調子が上がらない主力を次々にファームへ落とした。監督に復帰した昨年から耳にしてきた「変える時は思い切って変えんとあかん。ちょっと変えただけでは変わらん」という勝負哲学を、忠実に実行しているように見える。
 これで新しい戦力が出てきて結果が伴えば言うことはないのだが、交流戦は1勝6敗の大苦戦。最大7あった貯金は1まで目減りした。「阪神、大丈夫なの?」という心配の声が四方八方から聞こえてくる。しかし、まだ勝ち越している。首位広島とも1・5差しか離れていない。力が拮抗するセの勢力図が、岡田監督が序盤戦に聖域なき降格を進める理由ではないかと感じている。

 「完全にアカンようになる前に手を打つ」もよく聞いた指揮官のポリシーだ。本人のプライドを守るように復調を辛抱強く待った大山をのぞけば、再調整の決断は早かった。戦いが本格化する夏場以降に本来の力を出せるように、混沌とした戦いが続く今のうちに状態を戻せ―。相次ぐ主力の2軍通達には、そんなメッセージが隠されているように見える。

 もちろん、チーム状況が苦しいのは事実で、心配な点もある。救援陣のやりくりだ。

 岩崎が9回に逆転2ランを浴びて敗れた5日の楽天戦。7回2死一、三塁で3番手で登場した島本は、1球もストライクが入らないまま四球を出し、降板した。投球練習では、思うように体が動かないのか、左肩を気にするような仕草を見せた。2番手の石井が打者1人で交代して回ってきた出番。思うように準備ができていなかったのでは?と感じさせるシーンと結果だった。

 得点が多く見込めない現状、1点を守るための小刻みな継投がこの先も続くだろう。ブルペン勢は、リードしたケース、追いついたケース、強打者に回ってきたケース、逆転されたケースなど、あらゆる場面を想定して肩を温める必要がある。いつ何時にお呼びがかかってもいいように、複数人が同時に準備を進める場面がますます出てくるのではないか。実際にマウンドに上がらなくても、これが蓄積疲労となって体をむしばむ。勝っても負けても接戦が多い今季は、優勝した昨年よりも“表に出ない疲労”がたまっている可能性がある。チームの強みである救援陣が、大事な夏場にガス欠にならないか、気がかりだ。

 チームが悪循環に陥るのは、ささいなことから。負けが込むと、首脳陣が選手に敗因を求め、選手は選手で、打ってもリードを守れない投手陣を野手が責め、抑えても抑えても打てない打線を投手陣が非難し始める。そうなる前に、明るい材料がほしいところ。ムードを変えるのは、佐藤輝の一発しかないと思うのだが。(倉世古 洋平)

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