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凄腕“ヘビー級”ヒット狙う 世界一のボクシングカメラマン・福田直樹さん

2024年06月20日 04:30

社会

凄腕“ヘビー級”ヒット狙う 世界一のボクシングカメラマン・福田直樹さん
養沢で釣ったブラウン。掛けた瞬間の興奮がいまでも頭の中を駆け巡る Photo By スポニチ
 【あの人に会いたい】世界一のボクシングカメラマン、福田直樹さん(58)に会った。「パンチを予見する男」と呼ばれる凄腕だ。だが、今回聞いたのは本業ではなく趣味の話。釣りの好きさ加減はヘビー級だった。(笠原 然朗)

 東京・水道橋にあるオフィスに向かう間、駅を出てから神田川に架かる橋を渡る。気がつくと川を眺めている。魚はいないか?と。仕事以外では「釣りのことをずっと考えている」と言う。

 「寝る前に以前に訪れた川の流れ、魚が潜んでいた淵、釣れた瞬間を考えているとすぐに眠れます」

 釣りの原体験は小学生の頃。埼玉県内の川でハヤやクチボソを狙った。友人家族に連れていってもらった湖でブラックバスを釣り「完全にハマりました」。

 釣るのも、食べるのも、飼うのも好き。魚マニアでもある。

 ライターを経て、以前からなりたかったカメラマンを志して渡米。ラスベガスに在住し、バス釣り大会「USオープン」が開かれるミード湖でストライパーを狙った。

 ほかにも一時帰国のたびにシーバスやシイラを狙うルアーマンとして釣行を重ねた。

 「どんな釣りでも魚が食った瞬間が好きなんです。合わせが決まった瞬間が一番、興奮しますね」

 カメラではボクサーのパンチが当たった一瞬を切り取る。

 「リング上で両者の立ち位置やパンチのタイミングで“何かが起きるぞ”と予見してシャッターを切ります。釣りも似ているところはありますね」

 だが釣りを仕事に生かす、あるいはその逆も、という考えは福田さんにはない。「釣れなかった時は、運を使い切らないでよかったと思っています」

 釣りとの緩い関係を保っている。

 今ハマっているのは帰国した16年から始めたフライフィッシング。マラブー系などのウエットフライが専門。部屋で一人タイイングの時間も楽しい。

 東京都あきる野市の「養沢毛鉤専用釣り場」で60センチ超のブラウンを釣ったこともある。

 東京湾周辺の運河などでドチザメも狙っている。

 「いつも大きな魚を釣りたいと思っています。サメが釣れると思っただけでドキドキします。釣りは子供の時の冒険の延長なんです」と言った先から「最近、タナゴの竿や水槽を買ったんですよ。家に届いていてまだ開けていないのですが、楽しみだなあ」

 相好を崩した顔が少年になっていた。

 ≪香川照之と切磋琢磨≫俳優・香川照之とは中・高校時代から親友。共にボクシング好きで、テレビ放映された試合をビデオにとって2人で何度も繰り返し見た。「香川がいいというボクサーは僕もいいと思う。僕の評価に香川は同調してくれる」。そんな切磋琢磨(せっさたくま)が福田さんの糧になったことは間違いない。

 ◇福田 直樹(ふくだ・なおき)1965年(昭40)生まれ、東京都出身の58歳。ボクシング・フォトグラファー。独協大外国語学部フランス語学科卒業。ベースボール・マガジン社「ボクシング・マガジン」の編集にライターとして携わった後、01年に渡米、カメラマンに転向。08年から米の専門誌「リングマガジン」のメインカメラマンを8年間務めた。BWAA(全米ボクシング記者協会)主催のフォトアワードで最優秀写真賞を4回獲得。12年にはWBC(世界ボクシング評議会)のフォトグラファー・オブ・ザ・イヤーにも選出された。

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