このゆびと~まれ
【第27回】保健室が教えてくれた子どもたちの変化
2020年08月31日 05:00
社会
担任の先生たちも、児童が保健室に行くことが減ったように感じていました。そこで保健室に何人の児童が訪れたのかを改めて調べてみることにしました。
すると、年々、訪れる児童の数が減っていることがわかりました。もちろん、児童数も減っているのですが、1人当たりで計算してみても大幅に減少していることがわかりました(資料1~4参照)。
保健室を訪れる児童の数は、2015年度と比較すると19年度は約3分の1に減りました。そして、1人当たりの来室回数も約半減しています。
理由は(1)けがをしにくくなった(2)気持ちが前向きになった、の2点が考えられます。
(1)は、運動能力が向上して、突き指やけがの数が減ったパターンです。体育の充実が大きな要因かもしれません。
(2)は、これまでなら気持ちがしんどくなったりして、保健室に行っていた児童が、「もうちょっとがんばってみようかな」、「次は楽しみにしている先生の授業だしな」、「次は地域の方が来てくれる授業や」と気持ちを切り替えてくれているのではないかと考えています。
どれも因果関係を証明できるものはありません。ただ、これほど学校にとってすばらしいことはありません。
きっと全国の学校関係者たちがうらやましがるものだと自負しています。
たくさんの取り組みを紹介してきましたが、その最大の成果がこの数字として表れていると思っています。
児童たちが安心して学べる学校とは、保護者や地域にとっても安心できるものです。養護教諭の何気ないひと言が深日(ふけ)小の宝物を気付かせてくれました。
今回はこのあたりで。このゆびと~まれ。
(岡田 良平) (次回掲載は9月7日)
【深日(ふけ)】大阪府の最南端、泉南郡岬町にある深日は四国や淡路島への交通の要衝として繁栄した。地区人口は1971年の8059人から、2019年には3766人に減少。深日小学校の児童数も1978年は875人いたが、2019年には74人にまで減少した。大阪市内から電車で約1時間の場所にも、少子高齢化の波が押し寄せている。