このゆびと~まれ
【第86回】『学ぶ』に気付く
2021年10月18日 05:00
社会
深日小の現在の児童数は80人です。私は深日の出身なのですが、私が通っていた約30年前は1学年が78人でした。
しかし、児童が少なくなっても、当時と変わらない活気と、子どもたちのキラキラした瞳があふれています。
業務などで学校を訪れると、廊下ですれ違う子どもたちから「こんにちは!」とマスク越しでもわかる笑顔を見せてくれます。
昨年、授業の一環で、生涯学習課が町のために何をしているのかを5年生に説明する機会をいただきました。
自治区長さんや社会福祉協議会の方と、3グループに分かれて授業をしました。
子どもたちに「深日は好き?」と聞くと、その日、一番の大きな声で、みんなそろって「大好き!」と答えてくれたことを鮮明に覚えています。
授業からしばらくして、違う行事でそのときのある児童と出会いました。すると「あのときのお姉さん!」(深日の子は優しいです!とっても!笑)と声をかけてくれました。
昔から深日小に受け継がれていて、そして進化していること。それは、「繋(つな)がり」だと思うのです。
私が通っていた頃から古墳や漁協見学など町に繰り出していました。また、地域の方に来校していただき、授業を受けました。
今の深日小は、その「地域との繋がり」が、さらに増しているように感じます。
梅ジュースや梅干し作り。漁協との交流。地域や深日で働いている方たち一人一人が、子どもたちとの繋がりを楽しんでいるのが伝わってきます。
「子どもたちの学び」に参加することは、大人たちにも「学び」と「生きがい」が生まれます。
そして地元の人を知ることで、子どもたちは教科書に載っていない「学び」に出会うのです。
また、町中でその人に出会うと「あのときのおっちゃん!おばちゃん!」という安心感も生まれます。
小学校というフィールドで、子どもも大人も一緒になって学びが生まれる。それが生涯学習のひとつのカタチであり、地域づくりの重要な役割を担っていることに気付かされました。
今、深日小で学んでいる子どもたちには、ずっと深日を好きで、地元を想い続けて欲しい。そのためには、この「学び」と「繋がり」をいつまでも続けることが重要な鍵となるでしょう。
今回はここまで。このゆびと~まれ!
(岬町教育委員会 中出 貴美)(次回掲載は25日)
【深日(ふけ)】大阪府の最南端、泉南郡岬町にある深日は四国や淡路島への交通の要衝として繁栄した。地区人口は1971年の8059人から、2019年には3766人に減少。深日小学校の児童数も1978年は875人いたが、2019年には74人にまで減少した。大阪市内から電車で約1時間の場所にも、少子高齢化の波が押し寄せている。