このゆびと~まれ
【第83回】一歩ずつ前へ
2021年09月27日 05:00
社会
ところが緊急事態宣言の発令で、学校を訪問することができなくなり、授業は中断したまま年度末を迎えました。
そこで私たちは1番しか出来上がっていなかった歌詞を2番まで組み立て、楽譜を起こしました。また伴奏音源の録音を、楽器ごとにリモートでミュージシャンに依頼し、授業が再開できた時のために準備を進めていました。
しかし新学期が始まってもなかなか感染状況は落ち着きません。このままではテーマソングの授業を進めるのが難しいなと心配していた時に、リモート授業の提案をいただき、ぜひ進めていこうと決まりました。
楽譜と伴奏音源を事前に子どもたちへ渡してもらい、リモート授業までに練習してもらうよう伝えました。
私たちにとっても初めてのリモート授業です。歌声は普通に話すよりも音量があるんです。
もし子どもたちの声が割れて、ちゃんと聞こえなかったらどうしよう。画面のこちら側と向こう側とで生じる時間差が、歌にどのくらい影響を及ぼすのかなど不安もたくさんありました。
でも、いざリモート授業をしてみると、そんな不安が吹き飛びました。子どもたちのまぶしい笑顔や元気な声が、私たちにしっかり届きました。
これなら大丈夫。そこで子どもたちに普段の練習の中で歌いづらいポイントを聞きました。
例えば早口になる部分がうまく歌えない時は、
「自分たちが思っているよりテンポが前のめりになっているから、伴奏をよくきいて落ち着いてリズムに乗ってみよう」
「フレーズの終わりはしっかりと音を伸ばそう!」
「高い音で声が小さくなってしまうところをしっかり出していこう」など、リモートでも十分に授業ができたんです。
そして次のリモート授業で歌声を聞かせてもらった時には、すごく上達していて、とても感心しました。
子どもたちと一緒に作った歌は、毎朝の清掃時間に校内放送で全校に流されています。
みんなで作った歌が「自然と子どもたちの日常の音楽になりつつあるよ」と聞いて、私たちもとても嬉しく思っています。
できることを一歩ずつ前へ進めていき、深日小学校のみなさんと力を合わせて完成させていきたいと思っています。
それでは、今回はここまで。このゆびと~まれ。
【tricolore(トリコロール)み~やん&みなみ】(次回掲載は10月4日)
【深日(ふけ)】大阪府の最南端、泉南郡岬町にある深日は四国や淡路島への交通の要衝として繁栄した。地区人口は1971年の8059人から、2019年には3766人に減少。深日小学校の児童数も1978年は875人いたが、2019年には74人にまで減少した。大阪市内から電車で約1時間の場所にも、少子高齢化の波が押し寄せている。