このゆびと~まれこのゆびと~まれ

【第108回】しばしのお別れ

2022年03月21日 05:00

社会

【第108回】しばしのお別れ
河野さんの梅園で梅の収穫をして梅干しや梅シロップを作りました(2019年撮影)。温暖な気候を生かした地域の産業に目を向けるきっかけになりました Photo By スポニチ
 みなさん、こんにちは。深日小の岡田です。
 2年間にわたってご愛読いただきありがとうございました。今回をもって皆さんとは一旦のお別れとなります。

 私は一担任として深日小の子どもたちとのかかわりを通して、たくさんの経験をさせていただきました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

 さて、学校が家庭や地域と協働して学校づくりをしていく過程で、担任をしていてたくさんの気づきがありました。

 一つめは子どもたちの変化です。

 地域の魅力を再発見したり、体づくりを大学生たちとしていくプロジェクトを立ち上げ、年を追うごとに多くの方々に学校に来てもらえるようになりました。

 すると、子どもたちが自分たちの住むまちのことをよく知るようになってきました。

 保健室に行く子どもも減ってきました。授業に前向きに取り組む子たちが増え、どの授業も一生懸命に学習しています。

 どれも1日や1年ではわからない変化でした。しかし、1日や1年の積み重ねを繰り返していくことでできたことです。

 二つめは、ふと深日小や岬町の周りを見渡した時に「どこも同じなんじゃないかな」と気づいたことです。

 人口減少・少子高齢化の波は都市部にも着実に押し寄せています。

 1学年に3クラスあったのが、2クラスになり、気づけば1クラス。そうした学校がたくさんあるはずです。

 深日小の取り組みが正解だとは思っていません。しかし、人口減少・少子高齢社会に悩むまちにとって一つの解答例にはなるはずです。

 元気をなくし、うつむきがちな学校や地域の方に広く知ってもらい、私たちの取り組みをヒントに「頑張ってみよう」、「真似してみよう」と思う学校がひとつでも多く出てきてくれたら、その町の多くの人を幸せに、元気にできるかもしれません。

 その発信源として「このゆびと~まれ」を続けてきました。

 都会、田舎、海のまち、山のまち、それぞれの魅力があり、課題があります。

 あなたも子どもたちを誘って地域の人と一緒により良く学校や社会を変えてみませんか。

 「このゆびと~まれ」って言ってみませんか。

                 (岡田 良平)(次回は3月28日)

 【深日(ふけ)】大阪府の最南端、泉南郡岬町にある深日は四国や淡路島への交通の要衝として繁栄した。地区人口は1971年の8059人から、2019年には3766人に減少。深日小学校の児童数も1978年は875人いたが、2019年には74人にまで減少した。大阪市内から電車で約1時間の場所にも、少子高齢化の波が押し寄せている。

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