このゆびと~まれ
【第74回】見て、触って、においも感じたものを表現しよう
2021年07月26日 05:00
社会
大きな模造紙にみんなでアイデアを出し合って、見たもの、感じたものを描いていきます。
一緒に行った4年生も参加して、みんなで作品を作りました。
それぞれが表現の工夫をするのですが、いきなり子どもたちだけでできるものではありません。
例えば色ひとつを取っても、海の色、磯の岩や石の色は多様です。
子どもたちが選んだ海の色は青でした。
しかし、話し合いをしていくうちに青ではなく、うすく透き通った緑色から青になり、深くなるにつれて黒になっていくと感じた4年生の子どもたちもいました。
磯の岩や石、海藻類の色が記憶に残っていて、磯を中心に描こうとするグループもあります。
その中で、磯のゴツゴツした雰囲気を出すために紙に色を塗り、模造紙に貼り付けてみたり、岩の影にこだわった彩色にしてみたりと、少しずつ表現の幅が広がっていきました。
その時、「先生、また連れて行ってくれる?」と聞いてきた子がいました。
どうしてと聞くと、「描くのを失敗したら嫌だから」と言います。
「また、秋ごろに行けるようにしようか」というと、聞き耳を立てていた子どもたちも一斉に大喜びしました。
「もう一回連れて行ってあげるから気にせず、失敗してもいいから好きにやってごらん」
どの子たちも安心して、画材の選定や組み合わせ、色や形にチャレンジを始めてくれました。
自慢げに見せてくれる子、失敗してしょんぼりしている子もいます。でも、一つの作品として、少し離れた場所から作品全体を眺めてみた時、どの子も「すごい!」と心から感動していました。
睦谷(むつたに)さんに子どもたちの作品作りの様子を知らせたところ、「ぜひ、見せてもらいます!」と駆けつけてくれました。
「こうしてみたら」と作品にアドバイスをもらい、新しいアイデアがひらめいた子どもも出てきました。
実際に見て、触って、におって。全身で感じ取った海の恵みや生き物の様子を、みんなでわいわい言いながら表現する素晴らしさは、何ものにも代えがたいものではないでしょうか。
今回はここまで。このゆびと~まれ。
(岡田 良平)(次回掲載は8月2日)
【深日(ふけ)】大阪府の最南端、泉南郡岬町にある深日は四国や淡路島への交通の要衝として繁栄した。地区人口は1971年の8059人から、2019年には3766人に減少。深日小学校の児童数も1978年は875人いたが、2019年には74人にまで減少した。大阪市内から電車で約1時間の場所にも、少子高齢化の波が押し寄せている。