このゆびと~まれ
【第92回】海の魚を紹介するぞ!(授業編その3)
2021年11月29日 05:00
社会
でもいいんです。大切なことは本物にさわって、感じて。例え魚の名前だけでも大学生に伝えられたら、きっと教職志望の大学生たちも何かをつかんでくれるはず。
「先生、あれはサメやと思うんやけど、フカらしいで。漁師さんがそう呼んでたもん」
「先生、これタイかなあ。でも黄色いなあ。黄色いタイっておるんかなあ」
「これってエイちゃうん!」
「見て!見て!カエルアンコウって教えてもらった!めっちゃ小さくて、かわいい!でも結構すごい顔してんで」
「タコにかまれたー、痛いっ!」
「ナマコって、生き物なん?」
最初は魚にさわれなかった子どもたちも、しばらく様子を見ていると、自分たちからさわりに行きました。
漁師さんたちのサポートをもらいながら生き物の感触を確かめていきました。
そして、なんとか捕まえてカメラの前に行き、「大学生のみなさん、この魚はイシダイです」と紹介することができました。
漁師さんや水産技術センターの睦谷(むつたに)さんに、名前や生体を聞いて、その場で暗記し、一生懸命伝えようとしています。
「これは高級魚だそうです。めっちゃ、おいしいそうです」
目の前の魚に悪戦苦闘している子もいるので、なかなか上手に伝えられないのも事実です。
テレビのリポーターのようにはいきませんから、大学生たちも聞き取りにくかったのではないでしょうか。
しかし、きっとあの場にいた全員が思ったと思います。
本物を見て、さわって、感じることが何よりも大切だということを。
そして、地域の資源を生かした授業には臨場感という最大の魅力があり、オンラインも含めて大きな可能性があるということです。
今回はここまで。このゆびと~まれ。
(岡田 良平)(次回掲載は12月6日)
【深日(ふけ)】大阪府の最南端、泉南郡岬町にある深日は四国や淡路島への交通の要衝として繁栄した。地区人口は1971年の8059人から、2019年には3766人に減少。深日小学校の児童数も1978年は875人いたが、2019年には74人にまで減少した。大阪市内から電車で約1時間の場所にも、少子高齢化の波が押し寄せている。