このゆびと~まれ
【第87回】うまくいかないことの先にあるもの
2021年10月25日 05:00
社会
「◯◯ちゃんの答えおもしろいなあ」
「これ、どういうことなん?」
「私も一緒!」と笑いが絶えません。
せっかくなので模造紙にまとめて掲示して、みんなに見てもらおうということになりました。
岬町では「GIGAスクール構想」の推進もあり、生徒1人に1台のパソコンが配備され、様々な授業で活躍しています。
昨年度から金沢星稜大の学生さんや、音楽ユニットのトリコロールさんとリモートで授業をしたり、夏休みにはパソコンを自宅に持ち帰り、夏休みの宿題をしたりしました。
私たち教職員も子どもたちと一緒に新しい時代に対応した学習を身につけるべく頑張っています。
こうしたデジタル化の流れの中で、アナログの良さと感覚を身につけることを疎かにしてはいけません。
子どもたちが様々な素材(模造紙、段ボール、画用紙など)に触れ、画材(鉛筆・ペン・絵具・クレヨン・色鉛筆など)を選び、試行錯誤しながら、どうすれば見やすいのか、美しいのかを考えながら表現することです。
それは手指を中心に全身を使って感覚的に身につけていく必要があります。
もちろん思ったようにいきません。間違いもあるし、気に入ったようにできなくても消せないし、最後は指も服も汚れています。
こうした経験はパソコンやタブレットならありません。ボタン一つで消えますし、自動で補正してくれます。
汚れないし、色も何度も変えることができます。そういった意味ではどの子も失敗は少ないでしょう。
でも、アナログの場合、そうはいきません。子どもたちもよく
「先生、、、やってもうた」
「うまいこといかん」としょげたり、すねたりしています。
そうした失敗を「こうしたらわからんようになるから気にしない。大丈夫だよ」と上手に修正してあげたり、
「そんなことないよ。上手やん」と友達がフォローしてくれたりする経験を子どもたちはちゃんと見て、感じています。
そしてどの子も自分の気持ちに折り合いをつけ、少しずつ表現の技術を身につけ、上手になっていきます。
子どもの頃に、手指や体を動かして身につけ、覚えたことは大人になっても意外と忘れないものです。
さあ、この作品たちはどうなるのでしょうか!?
完成が楽しみです。今回はここまで。このゆびと~まれ。
(岡田 良平)(次回掲載は11月1日)
【深日(ふけ)】大阪府の最南端、泉南郡岬町にある深日は四国や淡路島への交通の要衝として繁栄した。地区人口は1971年の8059人から、2019年には3766人に減少。深日小学校の児童数も1978年は875人いたが、2019年には74人にまで減少した。大阪市内から電車で約1時間の場所にも、少子高齢化の波が押し寄せている。