小澤征爾さん 長野五輪開会式で指揮も 遅延の技術的限界乗り越え…1本のタクトで世界まとめる
2024年02月09日 20:20
芸能
トロント交響楽団の指揮者、サンフランシスコ交響楽団の音楽監督を務めた後、73年に米国の5大オーケストラの1つ、ボストン交響楽団の音楽監督に就任。ウィーン・フィル、ベルリン・フィル、ロンドン交響楽団などを定期的に指揮し世界的指揮者として活躍を続けた。
まさに世界をまたにかける活躍を見せた名指揮者。そんな小澤さんが、故郷に錦を飾った最高の舞台が、98年長野冬季五輪だった。
小澤さんは開会式の音楽アドバイザーとして大会に関わった。圧巻だったのは、イベントのクライマックス。長野の開会式会場に加え、米ニューヨークの国連本部、ドイツ・ベルリンのブランデンブルク門、南アフリカ・ケープタウンの喜望峰、オーストラリア・シドニーのオペラハウス、中国・北京の天安門広場と、世界5都市を衛星で結んだ、ベートーベンの交響曲第9番「歓喜の歌」の合唱だった。
もちろん指揮を務めたのは小澤さん。各地に小澤さんが指揮棒を振る映像がモニターで流される中、世界から合唱の声が届いた。中継のため、遅延が起きてしまうという技術的な問題を乗り越え、1本のタクトで世界をまとめ上げた手腕は、高く評価された。
開会式で総合演出を務め、小澤さんとタッグを組んだ劇団四季・浅利慶太さんは、18年7月に死去した。小澤さんは当時、「オペラ『蝶々夫人』や長野冬季五輪の開会式を、浅利さんの演出で一緒に作り上げたことはとても良い思い出です」と、故人をしのんでいた。