【王将戦】菅井八段「研究不足」鳴り潜めた振り飛車党4戦4敗 戦い方「大きな変化が必要」

2024年02月09日 05:12

芸能

【王将戦】菅井八段「研究不足」鳴り潜めた振り飛車党4戦4敗 戦い方「大きな変化が必要」
熟考する菅井八段(撮影・藤山 由理、大城 有生希、会津 智海、光山 貴大) Photo By スポニチ
 【第73期ALSOK杯王将戦七番勝負第4局第2日 ( 2024年2月8日    東京都立川市・オーベルジュときと )】 王将初挑戦の菅井竜也八段は、またも見せ場なく藤井王将に屈した。1勝を挙げることなく無念の開幕4連敗。自らの土俵に持ち込めず、ミスを重ねた。絶対王者へのリベンジは、最短なら4月開幕の名人戦だ。
 体中に傷を負いながら、菅井は精神力だけで持ちこたえていた。「ここまで指し続けているだけで偉い」という声が控室から上がる。いつ倒れてもおかしくない状況から必死に粘る。86手目[後]3三歩(第2図)は、せめてもの抵抗だ。悲壮感漂うその一手もしかし、藤井の前には全くの無力だった。

 刀は折れ、矢は尽きた。背筋をすっと伸ばして視線を一瞬宙に浮かせ、投了の意を示す。その目元はかすかに腫れていた。

 「1日目から苦しくなる将棋が多く、自分の研究不足というか…それが結果に出たと思います」

 決着局を振り返るよりも先に、シリーズ全体の悔恨を絞り出した。「苦しくなる将棋ばかりで工夫が必要だったというか…そのあたりが難しかった…」と話す声は呻(うめ)きに近かった。

 相手の王に全く近づくことができなかった投了図。どこでこれほどの大差がついたのか。「戦型に問題があるのか、そのあとの指し方に問題があるのかは分かりませんが、とにかく苦しかった」。確かに明らかな失着はなかったはず。気がつけば受け身に回り、指せば指すほど劣勢となる。封じ手で交換した大駒の飛車は負の選択で強いられた一瞬の活用で終わり、後手の駒台に悲しく乗り続けるばかりだった。まさに「飛車が泣いている」…。

 零敗とも言うべき内容。次回の顔合わせは4月開始の名人戦となる可能性がある。「もう少し力を付けて、振り飛車を指すならもうちょっと工夫するとか、戦い方を変えるなど大きな変化が必要では」と気になるコメントを残した菅井だが、大盤解説場に詰めかけたファンの前では「明日から頑張って生きるしかないので頑張ります!!」と明るく宣言。泣きたい心境を笑顔で隠して前向きな姿勢を見せた。この快活さがある限り、また大舞台に戻ってくるのは間違いない。(我満 晴朗)

この記事のフォト

おすすめテーマ

2024年02月09日のニュース

特集

芸能のランキング

【楽天】オススメアイテム