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コクチ、オオクチ 迷走なきバスの未来を 制限多くても遊漁料を払って釣りを

2024年07月07日 04:30

社会

コクチ、オオクチ 迷走なきバスの未来を 制限多くても遊漁料を払って釣りを
初挑戦で52・5センチのコクチバスを釣り上げた瀬野さん。弁護士の立場からバスの遊漁の将来について法的に考えていきたいそうだ Photo By スポニチ
 【奥山文弥の釣遊録】ブラックバスといえばルアーフィッシングの代表的な魚です。1925年に米国から神奈川県芦ノ湖に移入されたのが最初です。正式名はオオクチバスですが、日本ではブラックバスと呼ばれてその名が各地に広まりました。94年ごろから長野県野尻湖と福島県桧原湖でコクチバス釣りが始まりました。筆者の人生初のバスは芦ノ湖でした。

 この2種は性格がちょっと違います。初めてコクチを狙いに桧原湖へ行った94年には、地元ではすでにコクチバス達人がいて「コクチとオオクチを同じように狙ったら釣れないよ。コクチはマスだと思って釣った方がいい」とアドバイスを受け、派手に動かさない小さなルアーで釣った記憶があります。もちろんフライでもよく釣れました。オオクチが温暖な止水エリアを好むことに対して、コクチはやや水温が低くても流水であっても繁殖可能だと言われていました。しかしそれの全てに反する水域で両者ともに繁殖していることから、棲息域の順応性は高いものと思われます。ちなみに東京都内の多摩川や、荒川、利根川水系にも棲息しています。その後、2005年には特定外来生物法が施行され、魚類だけでなく哺乳類や昆虫、植物も指定されました。

 現在すでにオオクチはほぼ全国に広まっていますが、それに追従するようにコクチバスも分布域を広めてきています。

 このコクチバスは、特定外来生物に指定されている魚です。釣ったら生きたまま持ち帰ってはいけない。飼育してはいけない。売買してはいけない。移植(放流)してはいけないなどの法律があり、違反すれば罰則があります。びっくりするでしょうけれど、普通に釣りをする分には大丈夫。釣ったらそのまま元いた場所にリリースすることは法律では禁止されていません。県によっては条例でリリース禁止や、内水面漁場管理委員会指示でのリリース禁止指示があります。ちなみに関東近県では東京都や福島、千葉、茨城の各県にはありません。群馬県はコクチバスのみです。

 オオクチバスは第5種共同漁業権を持って遊漁料を徴収している漁協がいくつかありますが、コクチバスの漁業権を持つ漁協はありません。漁業権がないから遊漁料を払わないというバス釣り人も多くいるそうですが、ちなみにコクチバス釣り元祖の桧原湖も野尻湖も漁業権を持っていませんが、ここでバス釣りする人は皆、遊漁料を払っています。ちなみに長野県では両バスは内水面漁場管理委員会指示でリリース禁止ですが、野尻湖に関しては漁協から解除依頼があり、検討の結果、リリース禁止解除になったそうです。

 どちらのバスが好きかは個人にお任せするとして、釣り人はバス釣りの未来を考えるべきです。漁業権を持っていない漁協の管轄水域でバス釣りをする場合も雑魚券を購入して堂々と釣りをしたらいいと思います。ちなみに筆者は多摩川においては全魚種の年券を毎年購入しています。(東京海洋大学元客員教授)

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