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ビンナガで祝った誕生日 マグロフィーバーの相模湾で超レアな一匹 連日ナブラ出る海域に
2024年09月01日 04:30
社会
目的の場所に着くと、すでにボイル待ちの船が何隻もいました。みんなルアー船です。コマセなら反応を見て仕掛けを下ろせますが、ルアーは水面にマグロが浮き上がらないとヒットしません。時折起こるボイルに急行し、ルアーを投げます。
マグロの跳ねに向かって突っ走り、ミズナギドリを避けつつフルキャスト。距離はあればあるほどいいと思います。いい時は着水と同時にドバッとしぶきが上がってヒットしますが、ジャークを繰り返しているうちに、ヒットすることも多いものです。この日のマグロは相当賢いようで、ボイル打ちを何度か繰り返しましたが、ヒットはありませんでした。
次のボイルを待ちキャストを繰り返していると、無線でマグロ情報が入り、そっちへ急行しました。そこへ行くとミズナギドリが乱舞し、海面が白くなっています。全てマグロの起こしたしぶきです。よく見ると巨大なイワシ玉ができています。マグロがイワシの群れを追い上げ、行き場を失ったイワシがおしくらまんじゅうをしているような状態で、それが数千匹と固まっているのです。こういう時はシンキングペンシルが活躍します。
同乗していた畑雄二郎さんのルアーが、イワシ玉の中に吸い込まれるように沈んでいくと「ブルン」という当たりがあり、合わせるとグッと重くなったそうです。そして首振り。マグロはこの時点でことの重大さに気付いていません。それから潜り始めます。その間にこちらも戦闘態勢を整えなければなりません。
筆者たちは仕立船なので、すぐに仲間たちが場所を空けてくれて船上を自由に動き回れます。12分後、水面に浮き上がったのは丸々太った23キロのマグロでした。この時点ではキハダだとばかり思っていましたが、帰港後、胸びれが異常に長いことに気付き、調べてみるとビンナガでした。漢字で「鬢長」と書くのでビンチョウと呼ぶ人も多いですが、標準和名はビンナガです。覚えておきましょう。
相模湾でビンナガが釣れたのは今回が初めてです。しかも当日は筆者の誕生日。超レアな魚が「バースデー・フィッシュ」になってくれて、うれしく思います。(東京海洋大学元客員教授)