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巨大ヤマメに多摩川でまた合いたい 環境大きく変わったこの40年 清らかな渓流で復活願う

2024年08月18日 04:30

社会

巨大ヤマメに多摩川でまた合いたい 環境大きく変わったこの40年 清らかな渓流で復活願う
かわいくてキレイなヤマメをヒット。多摩川上流にまだ残っている Photo By スポニチ
 【奥山文弥の釣遊録】40年ほど前、多摩川本流の御嶽~青梅あたりはまだ川の生産力が豊かで、支流で生まれた稚魚から育った魚も、放流魚が野生化した魚も30センチを超えるギンピカ魚体になり、若きアングラーたちを魅了したものでした。筆者たちはそれを“奥多摩ヤマメ”と呼び、憧れたものです。当時は奥多摩エリアでは唯一あった釣具店にアングラーが集い、情報交換し、そのころは東京都練馬区から通っていた筆者も、いろんなことを学びました。

 時は流れ、川は砂利で埋まり魚の隠れ家が減り、餌釣りの竿はより長く軽くなり、糸もより強く細くなったため、それまで攻略不可能だった場所に届くようになり、格段に釣果が伸びました。ほとんどの魚が大きくなる前に釣られて殺され、持ち帰られたため、大型ヤマメの影すら見られなくなりました。

 1998年、東京都の水産試験場が50センチを超えて大きく育つ三倍体ヤマメを「奥多摩やまめ」と商標登録し、食用魚として出荷し始め、ヤマメの価値観が変わりました。なぜこんな名前を養殖魚につけたのだろう、とあきれたアングラーも少なくないと思います。そして今、多摩川のオリジナルの遺伝子を持つヤマメたちは、上流の限られた場所にしか棲息していません。

 数年前、北里大学海洋生命科学部の吉永龍起教授らの研究チームに加わり多摩川のオリジナル遺伝子を持つ魚の調査を行いました。探索した結果、ヤマメもイワナもまだ残っていました。今回行ったのはそんな場所の一つです。林道を歩き川へ降りると、そこはまだ水清らかな渓流でした。まずはドライフライで探りを入れます。
 最初の数投で魚が浮き上がってきましたが、見事に見破って沈んでいきました。これを繰り返したあと再認識しました。そうです、ここは東京都の超激戦区の一部なのです。簡単に釣れるわけがありません。浅瀬に泳ぐ魚影を視認しても、すぐにこちらに気がついて逃げていきます。そこでフライを諦め、ルアーで遠くから静かに攻めることに切り替えました。

 フライや餌釣りでは届かない場所へハンドメードルアーを投げることに。プラスチック製ミノーは多くの人が投げているので、発泡ウレタン製のルアーを試すことにしました。調査の時はこのルアーで爆釣したことも思い出されます。上流に向かって投げ、そのまま下流に向かって流れより速いスピードでリールを巻き、ロッドを小刻みに動かしながら引いてきます。

 すぐに15センチほどのヤマメが釣れました。パーマークが美しい魚でした。これをリリースして釣り上ります。小場所ではヒットはありませんでしたが、大場所ではチェイスしてくるなど反応があり、筆者の技術に関係なく、食欲満点の魚たちはルアーにアタック。最終的には同行者の高島謙治さんが21センチを釣り、これが今回の最大魚になりました。

 東京ヤマメが潜む谷、この秋、産卵するもっと上流まで行ってみようかと思いましたが、本流の巨大ヤマメが復活するにはどうしたらいいのでしょうか?ということも真面目に考えています。(東京海洋大学元客員教授)

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