フィッシングニュースフィッシングニュース

タグ&リリース 150キロのクロカジキ 水上バイクのように水面滑走

2024年08月11日 05:30

社会

タグ&リリース 150キロのクロカジキ 水上バイクのように水面滑走
タグ&リリースするために船縁でホールドした150キロのクロカジキ Photo By スポニチ
 【奥山文弥の釣遊録】静岡県牧之原市の友人・松下正春さんに誘われて、カジキ釣りに行ってきました。松下さんは昨年ハワイ国際カジキ釣り大会(HIBT)に出場し、優勝した方です。彼と出会ったのは約10年前。筆者が主催していた東京海洋大学の公開講座フィッシングカレッジに来てくれたことからでした。自身が所有する「大洋丸」でカジキ釣りをしているので、一度乗りに来てほしいと言われていましたが、なかなか機会がありませんでした。

 彼は「カジキを殺して港でぶら下げて記念写真を撮る時代はもう終わった」とカジキのリリースを提唱。さらに2020年、標識を打つタグ&リリースを本格的に開始。それに筆者も参画し海洋調査の一環として行われることになったため、年に何回かトロリングをするようになりました。松下さんのカジキ愛を感じたからです。初年度は長男がファイトしたシロカジキに衛星タグを打ち込むことにも成功しました。

 今回の釣りも調査目的でした。本命場所に見切りをつけ、場所を変えた途端にヒットがありました。カジキのヒットは凄いんです。リールからけたたましくラインが出ていき、その先では巨体がジャンプして暴れまくるのです。相手は100キロを超える怪物です。引きは半端なく強いものです。体力勝負とばかりに一生懸命リールを巻きましたが、この魚は20分でバレてしまいました。

 「もう1匹ヒットさせよう」。バラした悔しさよりも松下さんのテンションはバリバリに上がっています。仕掛けを入れ直して30分後に再びヒット。その魚はさっきよりも大きく、全身をさらけ出し跳ね回り水上バイクのように滑走しました。それだけでも「スゲエ」となるわけです。格闘40分、約150キロのクロカジキ(ブルーマーリン)にタグを打ち、リリースできました。

 なぜタグを打つのでしょうか?標識放流すれば再捕獲された時、記録が分かります。コンピューターを装着した衛星タグは、再捕獲されなくても約3カ月で自動で切り離しされ、細かいデータが衛星を通じて得られます。

 調査開始後、筆者が釣ったのはこれで4匹目ですが、いつもリリースするのであのカジキらしい記念写真が撮れません。船べりまでやってきた魚を見るだけでした。カッコいいのはカジキを支える松下さん。危険だからといつも彼がやっています。これでは納得がいかないので、次回からはリリース用の大型グリップを用意するなどして写真を撮りたいと思います。あるいは松下さんに釣ってもらって、筆者が角をつかみたいと思いました。

 ところで私事ですが、経営する奥山プランニングが創立30周年を迎えました。今回の魚はその記念カジキだと感謝しております。何よりも30年続けてこられたのは家族のおかげです。さらに年とってからこれほどカジキが釣れるとは夢にも思いませんでした。誘ってくれた松下さんありがとうございました。(東京海洋大学元客員教授)

コラムランキング

バックナンバー

【楽天】オススメアイテム